岡市 尚士
人生は、どっちみち後悔するように出来てる 「プロレス好きのバンドマンが柔術黒帯になるまで/第124話」
あまりにも雄大な岩手県の景色にハッとさせられました。
出発して9時間近く経つというのに、まだ「池袋西口バスターミナル」付近の濁った空気感を車内に漂わせたまま、明け方の高速道路を走るバス
その車内カーテンの隙間から広がる
幻想的な朝靄に包まれた森林風景は
さすが国土77%を森林が占める岩手県ならではといったところなんですが
子供の頃は嫌いでたまらなかったこの景色には、都会で溜まった垢を洗い流してくれる神秘的な力が宿っていることを、27歳になってからようやく、高速バスの車窓から感じてます。
たとえば長渕剛ドラマ「とんぼ」を
小学生の頃、親のうしろから観てた時と、大人になり生き方に迷いが生じてからYouTubeで発見して観た時とでは、刺してくる箇所とか斬られ方、エグられ方も全然違うように
この雄大な岩手県の景色も
花の都・大東京に死にたいくらいに憧れて昼から発狂していた19歳の頃と
前記事「売れないと悟ってからが本当の勝負、そこからバンドに対する愛情が問われる…。お前はどうなんだ?!」で綴った通り、二枚アルバムを出したけど「ダメだ…」と悟ってしまい、おまけに実家でも色々あった27歳とじゃ、違いますよね。
岩手県の景色が美しすぎてツラいわぁ
皮肉にも、ダメだと悟ったアルバムの1曲目は自らの作った「頑張ったけどダメだったって言ってもいいよ」
うるせーバカ
◼︎リアル浦島太郎です。全く違う国になっていた実家
最後に帰ってきたのが2年半前で
そん時、弟とやった寝技のスパーリングを見守ってくれていた「仏壇」が無くなっていたのと
居たはずの祖母が、やっぱり居なかったのが
この2年半の間で勃発した炎上騒ぎを物語っていました・・
ただ表札は「岡市」のままだし、物理的にこの建物は俺が生まれ育って、レスリング合宿から脱走した時も帰ってきた家であることは間違いないんですけど
なんか三沢光晴はじめ殆どのレスラーが大量離脱したあとの全日本プロレスみたいな
全然違う国になってましたね。
そんな悲しみの浦島太郎を出迎えてくれたのは
生後半年の甥っ子/大和と、妹の旦那/いさお君
この二人には、お家騒動なんか何の関係もなく。もし火の粉ふりかかっちゃってたら申し訳ないとしか言いようがなく、つくづくお家騒動クソったれ!!って思っちゃうんですけど
騒動にノータッチだった一番のクソったれである俺が、エラそうに叔父さんヅラ、義兄さんヅラしてしまう、この情けなさよ。
◼︎祖母がボケたのに、東京でスターになり続けようとして結局なれなかった男の情けない気持ちが分かるか
祖母は同じ船越地区内の「シーサイドかろ」に居ました。
もう言葉にならなかったですね。
祖母が認知症になってしまったのは、仕方がないことだったとしても
このカタチに着地するまで、親族みんなで頭を抱え、お金だって相当出ていったでしょうし
でも、その間。俺は東京でスターになり続けようとしてたんだよなぁ
もし、これでね。「少ないけど、足しにして」と、100万くらいボンと渡せることが出来れば、そりゃあもうスターですよ。
でも、なんだ?このザマは
おまけに大和のお小遣いすら用意出来てねえし
◼︎自殺を考えたと親父に言われた時の気持ちが分かるか
この一連の騒動の「根源」とされていた親父は何年にも渡って、多方面から袋叩きにされており
それは息子の俺からもそうで、俺も事あるごとに東京から電話越しにド正論をぶつけてきたんですね。
騒動にはノータッチで、都会で浮かれてるだけのクソガキの分際で
そんな親父と数年ぶりに会ったんですけど
一人暮らししている山田町内の平家アパートは、数年の苛酷さを表すがの如く、めちゃくちゃ散らかってて
そして「自殺」という言葉を聞いた時には、さすがに何も言えなくなりました。
人間って綺麗事だけじゃ生きていけないし、何の苦労も知らねえ若造がド正論を振りかざしたところでクソの役にも立たないんだなって、心底思い知らされたんですけど
でも、そんなの知らないままの人生の方が絶対幸せですよね。
◼︎田の浜の人達に、自分を少しでも大きく見せようと、レミオロメンを引き合いに出そうとした情けない気持ちが分かるか
滞在中、何人か知人達に会ったんですけど、やっぱりみんな「いつになったらミュージックステーションに出てくんの??」って聞いてくるんですね。
でも、もう以前みたいに「まあ待ってろ!」と、堂々と返せるだけの自信なんか微塵も残ってないのに
それを認めたくない自分もまだ居たりして…
そして、これは多分一生忘れないと思うんですけど
田の浜の漁業組合職員である同級生のトモが配属されている「給油所」に滞在中はけっこう長居させてもらっておりまして。居心地が良かったのでね
そして、ここには田の浜の漁師達が結構訪ねてくるんですけど
初めて話すような少し上の先輩達も多く
そんな先輩達からは決まって
「見慣れねえ顔だぁども・・どちらさん?」から始まり
話の流れで
「ほう。んじゃあバンドで稼いでんの?」
「いや、コールセンターで・・」
の、やり取りが絶対的に発生してしまうんですが
このやり取り中、何度も
昔レミオロメンと同時期に下北沢ガレージに出ていたことをつい引き合いに出そうとしたけど、ぐっと堪えた時の気持ちを絶対に忘れない(笑)
世の中に数ある「それを言っちゃあ、お終いよ」的なフレーズのひとつで、ダサさの極みですからね。
凄いのはあの人達で、お前は1ミリも凄くないからな。
この時、何度も口から出かけたけど、止めたおかげで俺の何かが保たれたと思います。
◼︎「見てきた物や聞いた事、今まで覚えた全部デタラメだったら面白い」って甲本ヒロトだから言えるのであって、実際に起きたら笑えねえっすよ。
滞在中は連日、トモの給油所終わりを待って、同じく田の浜で大工をやっているヒデ(第26話「喪失感」に登場)も交え、新体制の岡市家で飲んでたんですけど
二人の話を聞きながら飲んだ酒は
俺が27年間かけて積み上げた「価値観」が
たった一晩で逆さまにされるほど強烈で、味わい深い熟成されたものでした。
二人が今も毎年参加しているという、田の浜では古くから続く「荒神社」のお祭りのビデオを観ながら
お祭りの話、大工や漁業組合の話、子供の話、消防団の話、田の浜におけるコミニティーの話、etc、etc、etc、、、、
ちょっと待って
・・この二人、めちゃくちゃカッコいいじゃん!、、って
俺、正直に話すと
高校時代に隣町の宮古でライブやってたぐらいの時期から、この二人だけじゃなく他の同級生達に対しても少し優越感を感じていたところがあって・・。
そんな、昔から田の浜を出たい思いで生きてきて
野心のために田の浜だけじゃなく家族も見捨てることになっちゃって
結果、手元には何も残らないまま27歳になってしまった俺と
昔から田の浜に居続け、今では田の浜を代表する青年に成長したトモとヒデだと
どっちがカッコいい??
っていう自分からの問いかけに
オセロみたいに、全コマが真逆!真逆!真逆!真逆!真逆!真逆!真逆!真逆!真逆!真逆!真逆!真逆!
ブルーハーツ「情熱の薔薇」の歌詞の一節にある
「見てきた物や聞いた事、今まで覚えた全部デタラメだった」と思える瞬間に、立ち会うことになったわけなんですけど
歌詞の続きにある「面白い」は残念ながら無かったです。とりあえず全然、笑えねえっす。
◼︎田の浜時代は船木誠勝さんの「人生が二度あるならお母さんの言う事を聞いて高校を受験します。でも一度しかないからプロレスラーになります」を切り札に生きてたけど、逆にお母さんの言う事を聞いてたらどうなったのか?・・・考えるまでもなかった。
トモ達が何本か持ってきたお祭りのビデオの中には、めちゃくちゃ昔のヤツも混ざっており
そこに小学生時代の自分を発見して「俺にも″田の浜のひと″だった頃があったよなぁ」って
もう、すっかり東京かぶれですよ。
まあ、そんな田の浜から脱却したくて
安定を勧めてくる大人達には「もし人生が二回あればみんなの言う通りにすっけど一回しかないんだから自分の自由にさせてください」(第51話「Hi-STANDARD」より抜粋)
って船木誠勝さんの有名なセリフ丸パクリで黙らせて田の浜時代を生きていたんですけど
逆にお母さんの言う通り、真面目に働きながら田の浜の人間として生きてきていたら
トモとかヒデみたいになれたかな?
、、と思った刹那
この実家で発狂している19歳の俺を思い出して
・・ダメじゃん!!
多分あのまま生きてきたら、なんらかの事件を起こした。
そして、東京に行けなかったことを、誰かのせいにし続ける人生になってた可能性が非常に高い・・
…ってことは
どっちにしろ俺の人生、ダメだったんじゃん!!
いやー、すげー事に気付いた。
「人生はどっちみち後悔するように出来てる」
これって、今まで誰も言ってこなかったよな。
俺の日めくり格言カレンダーとか作れるんだったら、絶対入れよう。って
◼︎そしてXデーは訪れた・・
そんな状態で、東京に帰る日が来ちゃって
さすがにもう脱走とか逃げたりはしないですよ?
だけど、すんげー東京に帰りたくなくて、胸を引き裂かれるような思いで、最後に海を見に行ったら
子供の頃から顔馴染みの近所のお婆さんにバッタリ会って、ちょっと話したその別れ際
「ばっぱぁ(祖母)粗末にすんなよ、、」って
お婆さん泣き始めて
まあ、ウチの事情なんか全部知ってるんだろうけど・・
そのお婆さんと、田の浜の海を見てたら
なんつーか
なんなの?青春パワーポップって
俺、思うんですけど
バンドマンは、たとえ売れなかろうが、どんだけクズ野郎だろうが
全然、良いと思うんです。
ただ …たったひとつだけ譲れないものがあって
自分のやってるバンドがカッコよく思えなくなってしまったら
そこでもうお終いだと思うんです。
帰りの東京行き新幹線で
メンバーのサネさん、エノさん、ケンちゃん。ディレクターの南雲さん(スケルトンズ/Gt)の4人に
「コーチガリー辞めたいです」
と、一斉送信しました。
つづく
次回「ヤサグレのはじまり 〜コーチガリー辞めたいです、その後〜 」←読めます。
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この記事を書いた人
岡市 尚士
ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。
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