ボクシング経験者の親戚のところにわざわざ俺を連れて行って競技の恐怖を語らせるといった、先人の失敗の部分だけを用いて息子の夢を刈り取ろういう卑劣な妨害工作をした母親と
実は｢空手｣というカードも手の内には隠し持っていながら（家から3分、安月謝で通いやすい）それは見せずに、あえてボクシングの一枚だけで闘争を長引かせ
通うには少しハードルの高いボクシングの要求を高めるだけ高めて、沸点が限界まで達した段階で《通いやすい》空手まで一気に引き下げれば許してくれるんじゃないかという人間の心理をついた姑息な手段を思いついた息子（前記事）
もう一日でも早く｢切り札・空手｣を切りたい気持ちをぐっと堪え、ボクシング案で何ヶ月も粘りに粘って
そろそろ最終戦か？そんな雰囲気が漂い出した頃合いを見計らって言いました。
「じゃあボクシングはあきらめる
でもその代わりに空手で我慢する。月謝も安いし漁村センターでやってるからそれで良いでしょ」
「ダメ」
何でや！！！！！！！！
「わかった！じゃあ俺ヤクザになる｣
瞬間的にこみあげた、この母親を悲しませてやる！！という気持ちから出たワードがそれでした（笑）
もう抑えきれませんでしたね。
ちなみに、その職業？を知ったのは長渕剛主演ドラマ「とんぼ」でした。
かつてのキョンシーブームが終焉する分岐点となった｢幽幻道士4｣が放送される三日前の1988年（昭和63年）10月7日｢とんぼ｣はスタートしました。
近年はYouTubeにアップされたり削除されたりを繰り返しているんですが未見の方は絶対に検索してみた方が良い、男性なら誰しもが抱える感情全てを鷲掴みにされる最高のドラマなんですけど。
放送当時は8歳でもちろんそこまでの感受性がないので、寺島進が耳を切り落とされるシーンと、リンチに遭い血まみれでズタ袋に入れられたツネ（哀川翔）等のショッキングな描写ぐらいしか印象に残らない中
最も印象的だったのが
｢こんなの子供に観せないで！｣と父親に怒ってた母親なんですね。
そんな｢とんぼ｣が、ちょうど我々の親子闘争と同じ時期に再放送されていて
｢母親が嫌いなもの＝ヤクザ｣と刷り込まれていた認識を思い返しており非常にタイムリーだったため
怒りが頂点に達した時｢俺ヤクザになる｣が咄嗟に出たのだと思います。
小川英二（長渕剛）の妹あずさ（仙道敦子）の身の危険を漂わせる発言をしたピアス（寺島進）
英二の逆鱗に触れ、このあと耳を切り落とされてしまう
ドラマ内でも珠玉の名シーン
しかし、いつの時代もお母さんって大変だと思うんですね。
男が味わったら死ぬとまでいわれるほどの痛みを伴うほどの出産を、ウチの場合は三回も経験し、夜泣きの日々、制御不能なイヤイヤ期を三人分も乗り越え
でも子供達はその時の事を全く覚えておらず
最近まともに会話出来るようになってきたと思ったら長男は子育てに協力的とはいえない夫になびきはじめ
昭和のテレビは子供に観てほしくない番組ばかりなのにデリカシーのない夫は、子供の前で平気で暴力団のドラマ観るし
長男は、昔は｢おかあさんといっしょ｣のポロリが好きな優しい子だったのに、今ではお祭りで買ったプラスチック製のドスで近所の子供達と耳を切るマネしたり怒声で｢ツネー！！｣とか叫んだりと
いつからか私がなってほしくない悪い意味で田の浜的な人間に育っている。
そんな息子に「俺ヤクザになる」と言われた。
この前はレンタルビデオを返却してあげたら｢ぶっ殺すぞ！！｣とまで言われたし
この当時の母親の胸中たるや
悲しい思いをさせてしまった事は確かではありますがそんな息子のあまりの格闘技をやりたい熱意に押されたのか小川英二ばりの目つきにヤバイと感じたのかは定かではありませんが
いずれにしても母親の心境に、ようやく多少の変化が生まれたはずです。
それまでビクともしなかった山が動きました。
初めて母親の方から提案してきたのです。
しかも、想定のはるか斜め上をいくカードを
つづく
次回「レスリング」
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この記事を書いた人
岡市 尚士
ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会／58キロ級３位、レスリング岩手県高総体／52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体／56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ／48キロ級３位と多彩な実績を持つ。
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