岡市 尚士
コーチガリー 「プロレス好きのバンドマンが柔術黒帯になるまで/第100話」
おーい!
みなさん体調いかがでしょうか。なんと昨日、ウチの団地向かいのサミットの従業員からコロナ感染者が出てしまいました。
コロナが目の前まで迫っています!
しかし今のところ家族も俺も元気です。36.2℃平熱。
というわけで今日もまた生きているので書き進めますけど
ていうか100話ですよ。
ちょっとした金字塔を打ち立てようとしているのに、どこの企業様からも接近らしきコンタクトが一切見られないのって、これもソーシャルディスタンスの一種という事で宜しいでしょうか。
では先に進めさせていただきます。
バンドとして、せっかく良いところまで来たのに。そんなBOSTON☆CLUB BANDを辞めた俺(前回)
さて、これからどうしよう
という所で、偶然にも狙いすましたかのような100話(狙いましたけど)
今回から始まる新たなフェーズは、ある人物の話からさせていただきましょう。
″若い頃の志村けんのような風貌の男″
先日3月7日投稿の「第95話/満を持してK-1にやってきた200年秋のボブサップと下北沢のバンドマン達」
まさか数日後、病院に搬送され、帰らぬ人となってしまうなんて全人類が思ってもみなかった志村けん師匠を、この記事内において勝手に引用させていただいた時にチラッと紹介しましたが
その志村師匠が、東村山音頭でブレイクし、まだ髪を伸ばしていた20代の頃の風貌を、彷彿とさせる男/佐々木真之ことサネさん
俺がボストン脱退後の進路として着目したのは、そのサネさん率いる自然消滅寸前のバンド/コーチガリーでした。(当時は英語表記のCoachgarry)
東京理科大学の学生3人で活動していたコーチガリーは
大学卒業が決まったベース/ヒロシが脱退し
万年留年組のサネさんとドラム櫻井さんの二人だけが一応残留はしているという状態だったんですけど
ヒロシが脱退する前に一度だけコーチガリーのライブを観たことがあります。
どこかしらビートルズ前期を彷彿とさせる音楽性は、演奏力は決して高くはないものの、とても新鮮に映りました。
それこそ、ウチらボストンを崇拝してくるような鋲付きの革ジャンとか着てるような連中が聴いたら鼻で笑われそうな、ナヨっとしたサウンドなんですけど
それが、かえって良かった。
俺には天邪鬼なところがあり。
小学生の頃、同級生達がプロ野球日本シリーズに熱中してる流れから逆行し、闘いの世界に傾倒するようになったり(コレ)
周りがX-JAPANを聴けば、俺はユニコーン(コレ)
ブラジリアン柔術でいうと、みんながオシャレな柔術着メーカー/Shoyorollをこぞって買うなら、柔術着ではなく″柔道着″を買うぞ!
っていう。まあ、ひねくれ者なんですよね。
そして、この2003年頃っていうのは日本歌謡曲界で、青春パンクブームの嵐が吹き荒れておりまして
またライブハウス界隈でも
イントロの轟音!!から一転、静寂のアルペジオへ、、、、そしてまた轟音へ!!
みたいなアレンジをするバンドが多くて
そんな″ラウド寄り″の音が好まれる世間の空気感に、正直ウンザリしてたんですね。
岩手県時代はハイスタやNOFXのコピーを中心にパンク一辺倒なバンドをやっていた俺ですけど、あの当時は世間的に小室サウンドが主流だったからこそ良かったんです。
そんな天邪鬼な俺だったからこそ
ラウド全盛だった2003年に、廃屋寸前となっていて誰も手をつけようとしなかったコーチガリーに魅力を感じたのかもしれません。
そして、そんな廃屋の家主であるサネさん自身のキャラクターにも可能性を感じました。
初対面こそ下北沢ガレージの楽屋で「よろしく〜!」と言いながら
ご自身がかけていたレンズの入っていない黒縁メガネのフレームから、指をニョキニョキと出してきたので
、、か、絡みづれえ、、、!!
と思わされたものでしたが
ベース/ヒロシが脱退したあとのサネさんは
「ライブにも出てないし、呼ばれてもいないのに打ち上げに来て、朝まで居る人」でした。
そして、そんなサネさんの姿が
泥水をすすっていた頃の大仁田厚と被りました。
大仁田厚
一定年齢以上の人であれば誰でも知ってる国民的な存在です。
しかし1990年にノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチにより「涙のカリスマ」として全国区に知られるようになった彼の、元々のデビューは1973年
実に17年ものあいだ「涙のカリスマと呼ばれる前」の時代があります。
特に1985年に一度引退しタレント活動(この時期「刑事物語4」に敵の一味として出ています。)していた頃は泥水をすすって生きるような日々だったと言われております。
そんな泥水時代で最も有名なのが
「大仁田さん、チケットを持っていますか?」事件
当時、人気絶頂を誇った第二次UWFの会場に顔パスで入ろうとするも、上記の言葉で門前払いを受けたことがプロレス雑誌で報じられました。
「サネさん、チケットを持っていますか?」
とは、さすがに言ったことはありませんが(笑)
この頃のサネさんはウチらボストンのライブだけじゃなく、とにかくどこのライブにもいた。
そして特筆すべき点は、呼ばれてもいないのに打ち上げ会場の居酒屋に一番乗りして「先に始めちゃってる」厚かましさと
ライブに出てもいないのに、打ち上げの中心に出しゃばってくる図太い神経
あのアントニオ猪木をして
「あいつは負けても消えない。負けても勝った人間の上を行っちゃう毒を持っている 」と言わしめた大仁田厚のソレと似たようなものが
サネさんから放出されているのを、俺は居酒屋の隅から何度も目撃してきました。
そして若い頃の志村けん師匠のような風貌は、決してルックスだけじゃなく、その振る舞いもそうで
極端にいうと、例えばハゲヅラかぶって走り回ったり、股間から白鳥が飛び出すバレリーナの衣装着たり
そういう事を人前でやったとしても全く違和感のない人間って限られると思うんですけど
サネさんは完全にそっち側で
もしかしたらサネさんの人間性を以ってすれば
大仁田厚とターザン後藤がノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチを闘っていたアンダーカードで
柔道家、空手家、プロボクサーら格闘家がいて、小人症のプロレスラーによるミゼットプロレスがあり、女子プロもあり、男女混合もあり、怪奇派レスラーまでいて
「おもちゃ箱をひっくり返したような」団体と呼ばれていた頃のFMWのような
それこそ、ずっとやりたいと思っていた
「シューティングを超えたものがプロレスである」
そんなジャイアント馬場御大の有名な御言葉を体現するようなバンドって
・・コーチガリーなら出来んじゃないかな?!って
こうして始まったコーチガリーとしての人生
まあ俺の20代に光も影も落とし込んでくれましたよね。
でも、多分これが無ければブラジリアン柔術なんか始めてもいないし、帰郷して震災を経験することもなかったんじゃないかなと
そんな愛憎入り混じったコーチガリー編
この続きは明日か明後日!また生きてたら書くぞ!
つづく
次回「ミスターXとUインターの頭脳」←読めます。
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この記事を書いた人
岡市 尚士
ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。
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