新しい時代の幕開けでした。

鬱屈としていた部屋から山田レスリングクラブへ飛び出して新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んだ俺の日常は当時1991年のJ-POPシーンのごとくキラキラしたものに変貌を遂げました。(前記事

1991年シングル売上ランキング

こんなに清々しいスタートだったのに、まさかこの道には数年先「どん底」が待っているだなんて、もちろんそんな事なんか想定できるはずもない希望に満ち溢れた山田レスリングクラブ入会初日

たしか両脚タックル、首投げ、ネルソンあたりを教えてもらって。もちろんすぐ上手くはできないんだけどとりあえずはやってみたい!とスパーリングも初日からやらせてもらいました。

そして度肝を抜かれたのがみんなの身体能力の高さ

レスリングって必ずマット運動もやるんですけど「倒立前転」「ヘッドスプリング」「ハンドスプリング」などの、初心者からするとウルトラCとも思える種目をほとんどのメンバーがこなしてて

まあそれを初日から出来る人間もほとんど居ないんですけど、それは俺もしかりで前転(でんぐりがえし)から始まって、せいぜい側転くらいまでだったかな。初日の限界は

そのマット運動のほかに、基本姿勢、フットワーク、バーピー、etc…

それまでの絶対的価値観だったカンフー映画、ボクシング、長渕「とんぼ」とかの世界には存在し得ない、そんなレスラー然とした所作の数々がとにかく新鮮で!

血を早く入れ替えたいなと(笑)

まあマット運動に関しては家で座布団敷き詰めて練習して割とすぐ出来るようになりました。

しかし身体だけならまだしも脳みそまで100%そっちに染まろうとするもんだから数年後、死ぬほど後悔することになるんですけど

そしてXデーはやってきました。

もっと深くレスリングを知りたいと思うまでになっていた俺はある日、新聞のテレビ欄に「プロレスリング」という番組名を発見します。

でも恥ずかしながらこの時、それがあの「プロレス」だなんて全然知らなかったんです。

「プロ・レスリング」っていうくらいだから、てっきり実業団とか社会人選手の試合が観れるもんかと

もちろんあのプロレスは知ってます。ウチの親父や、親戚の大人達がみんな観てた光景(過去記事参照)は俺の原風景のひとつですから

でもそのプロレスが、まさかプロ・レスリングの略称だなんて全く思わないわけですよ。

だって明らかに全然違うじゃん(笑)

だから、深夜に録画予約しておいたその「プロレスリング」とやらを

翌朝、再生した時の落胆たるや…(笑)

こっちは純粋なレスリングの試合を期待してるわけですからねぇ

それが、あの聴き馴染みのあるテーマ曲に乗って「全日本プロレス中継」が始まったわけですから

「え!プロレスってプロレスリングの略だったのか!」という衝撃の合点と、昔オヤジ達がこぞって観ていたノスタルジーに挟まれながら

まあせっかく録画したのでそのまま続けて観てみると

なるほど。レスリング競技を始めた観点からであれば幼少期には野蛮の極みにしか見えなかった全日本プロレスの見え方が全然違ってくるもんで

なんせフォール決着(相手の背中をマットにつける)がレスリングと同じですから

ルールの幅を打撃、関節技、絞め技、空中殺法、5秒以内の反則、と過激に広げたものがプロレスリングになるんだなと勝手に解釈しているうちに

プロレスの魅力に引き込まれつつありました(笑)

かつて父親達と観ていた記憶まんまの赤青のツートンカラーのリング

記憶に残ってるメンツだと長州力、天龍源一郎、グレートカブキは居なくなってたけど

ジャンボ鶴田が怪物然と君臨しており

それに挑んでいる若いレスラー達のパンツは昭和には見なかったカラーバリエーションが豊富なもので

緑、黒×黄、オレンジ、日章旗カラー

特に日章旗カラーの選手が鶴田と対峙すると、大人と子供くらいの差があるように見え

そんな鶴田に憎たらしさを感じてしまった俺の気持ちが、まさか天龍はじめ大量離脱後の経営ヴィジョンの一環の狙いだなんて知る由もなく(笑)

そもそも今思えば

もしもあの当時、新聞のテレビ欄に「プロレスリング」ではなく「全日本プロレス」と表記されていれば

俺は変な勘違いを起こさず、録画予約もせずに済み。よって、ここまで人生をこじらせることも無かったんじゃないかな?とも考えれるんですけど

ではなぜ新聞の担当者は「全日本プロレス」ではなく、「プロレスリング」と刻印したのか?

同じ7文字なのに

おそらくですけどプロレスに対する愛の無さ故なんじゃないかなと推測しております。

だってもしも俺が担当者の立場なら、ちゃんと「全日本プロレス」って入力しますよ!

7文字分のスペースを充てがわれてるんだろ?

漢字→カタカナの変換がめんどくせーから全部カタカナで「プロレスリング」って入力したんじゃないのか?

もしそうだとしたら

担当者の愛の無さから、偶発的に愛憎こじらせモンスターが生まれてしまった奇跡の大事故だよ!!

人の人生、狂わせやがって(笑)!!

これから5年後、大体あと25話くらい先から

地獄が待ってるからな!!

「あの日あの時あの場所で君に会えなかったら僕等はいつまでも見知らぬ二人のまま」(1991年シングル売上ランキング第一位/ラブ・ストーリーは突然に/小田和正)

つづく

次回「新しい息吹!新日本プロレス

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この記事を書いた人

岡市 尚士

岡市 尚士

ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。

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