岡市 尚士

岡市 尚士

2019.07.26

プロレス好きのバンドマンが柔術黒帯になるまで 第50話「1997年の安室奈美恵とBLANKEY JET CITY」

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推薦試験のショボい反抗入学減量脱走、ギターの師カズ君、暴走により頓挫したクリスマスライブ、その他もろもろ。

騒動に事欠かなかった1996年が終わり。

1997年が始まった。

この年を象徴するものとして

パッと思いつくだけで

「たまごっち」と「アムラー」の大流行はこの岩手県沿岸部においても顕著に見られ。

マット界では「nWo」が大旋風を巻き起こし。高田vsヒクソン戦で「PRIDE」が産声を上げ。

中井祐樹先生が総合格闘技道場パレストラ(現パラエストラ東京)を立ち上げ。

J-POP界ではCDが最も売れる翌1998年に向かってモンスターソングが量産され。

年間売上ランキングトップ20曲中の第16位までが何とミリオンセラー!!

↓↓これ拡大して!

そんなとんでもない一年でした。

J-POP界をもうちょっとだけプレイバックしてみますと

バンド、デュオ、アイドル、バラエティー、敬愛する奥田民生プロデュースPUFFYも大健闘でしたが

その中心にいたのは間違いなく小室ファミリーでしょう。

なんと売上ランキングトップ20曲中/5曲が小室哲哉プロデュース。

しかし

巨大なマーケットには必ずといっていいほど

「アンチ」が付きまとうのも世の常。

小室はクソ

薄っぺらい

認めねえ

こんな事言ってるヤツいませんでした?

まさに俺です(笑)

雑誌も

「CDでーた」とか「WHAT’s IN?」なんて自分じゃ絶対買わねえ。

「ROCKIN’ON JAPAN」か「音楽と人」ぐらいからならオーケーという独自の基準があり。

もうすでにお茶の間に浸透しているアーティストなんかクソくらえ。

まだテレビ出演が滅多にない「夜明け前」のバンドを好む。

では何でそこまで小室ファミリーを毛嫌いしていたのか?

隆盛を極めるJ-POPシーンの何がそんなに不満だったのか?

そこに深い理由なんかない

ただカッコつけたかっただけ。

そういう姿勢がカッコいいと思ってそうしてるだけ。

ホントろくでもない。

いざお気に入りのバンドがブレイクすると

「売れる前から知ってた」

まるで俺が育てたみたいな言い方をする。

これは人より優位に立ちたいという劣悪なマウンティング行為のひとつなんですが

日本全国どこにいてもGoogleの検索窓に入力さえすれば子供からお年寄りまで誰でも簡単に音楽を聴ける2019年現在と違って

「知る」にはそれなりの環境と労力が必要だった時代によく見られた光景だったんじゃないでしょうか。

うちのクラスではまだ誰も知らないブランキージェットシティを聴くようになったのはクリスマスライブ頓挫の傷がまだ癒えぬ97年2月頃。

宮古TSUTAYAにて。

発売されたばかりの年間売上第1位/安室奈美恵「CAN YOU CELEBRATE?」が可愛らしいポップとともに華々しく平積みされている横を通り抜けて。

【邦楽ふ】の棚を探し。たまたま在庫があった数年前発売の2ndアルバム「BANG!」を購入。

ブランキーはその一年後「赤いタンバリン」で全国的にブレイクして。

案の定、俺は劣悪なマウンティング行為を発動させるに至ったわけなんですけど。

当時の俺よ。

お前は知ってるようで知らない。

そのマウンティングは死ぬほどダセー。

ブランキーはね、もうすでに売れてたから。

ヒットチャートの上位にいてお茶の間にもお馴染みのアーティストだけが「売れているアーティスト」ではない。

レコード会社とメジャー契約しているアーティストはみんなそれなりに売れている。もしくは売れると見込まれている。

売れなければメジャー契約を切られる。

メジャーとはそういうものだ。

ブランキーはこの97年2月時点でもうすでに6枚もスタジオアルバム(ミニ含む)を出してたから充分売れている。

だから別にオメーなんかが聴かなくても、すでに全国各地の熱狂的なファンに支えられている。

なるほど。

代々木公園での野外フリーライブ「Are You Happy?」で見られる熱狂的な客と、やたら激情的なセキュリティスタッフの喧嘩?は好きが過熱しすぎたが故の賜物ですね。

でも俺はただファッション感覚でブランキージェットシティを聴いていたワケではなかったんだな、というのは彼らが解散して20年近く経った2019年現在もよく聴いているので。あ、本当に好きだったんだなと。

そんな彼らが「赤いタンバリン」のヒットでクラスのほとんどに知られるようになる一年前のこの頃。

ブランキー聴いてるやつなんか山田町でも俺くらいしか居ねえだろうなと思ってたら

居た!!

同じ山田中学校出身でカズ君達と同じ宮古工業に通う佐藤和ことワッチャン。

中学時代はあんまり接点なかったんですけどレスリング辞めてからいつも帰りの電車で同じで。

再結成して来日したセックス・ピストルズ(前座はハイロウズ)の話題から結構話すようになっていました。

しかもブランキーだけではなく、まだ世間に全く浸透していない音楽。いわゆるインディーズバンドを彼はたくさん知っていました。同じ山田に住んでいながら、どうやってそんな情報を得られるのか謎なんですけど。

カズ君がギターの先生なら。

ワッチャンは音楽の先生でしょうね。

そんな彼がある日「これ聴いでみで」と貸してくれたんです。一枚のアルバムを。

愛読誌「BANDやろうぜ」でやたらプッシュされてて名前なら聞いたことあるそのバンド。

その一枚がきっかけで

まさか青春を丸ごと支配されるなんて思ってもみませんでした。

つづく

次回「Hi-STANDARD」←読めます。


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この記事を書いた人

岡市 尚士

岡市 尚士

ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。

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