岡市 尚士

岡市 尚士

2019.07.23

プロレス好きのバンドマンが柔術黒帯になるまで 第49話「クリスマス・スーパーライブin摩天楼′96」

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バンドをやるという事の難しさを思い知らされ。

立ち尽くすしかなかった1996年クリスマスでした。

遡ること数ヶ月前。

一日6時間ギターの猛練習に明け暮れ。レパートリーが増えてきた俺は思いつきました。

「クリスマスにライブをやろう!」

これは最初に団体発足を発表してしまってから色々動き出した「私はプロレス界に万里の長城を築く」のポスターで有名な第一次UWFから得た着想です。

モデルケースとしてあまり優秀とは言えませんがそれをお手本にしようとした俺は新間寿氏の一億倍はズンドコが過ぎました。

10人中10人が「ちょっと厳しいんじゃないの?」と口を揃える案件。

しかし俺には勝算がありました。

親父がドラムセットと、そのドラムの音にも負けないくらいの音量を誇るジャズコーラス120Wのギターアンプ他、同等のアンプ数台を所有しており。

普段、親父の事務所に置かれていました。

親父がベンチャーズコピーのオヤジバンドを組んでおり。そこで使われているものと思われます。

部屋で使っている10W程度のアンプではドラムの音に掻き消されてしまいますが。

親父達のを借りればイケる!と

新間寿氏よろしく「私は既に数台の機材を確保した」状態の俺は

岩手沿岸バンド界に「万里の長城を築く」つもりで向かいました。

磯鶏駅前にある喫茶店「摩天楼」

ここで宮古商業の先輩達がミニライブをやったという情報を耳にしたので。ここなら貸してくれるかなと。

でもやるにしても。

  • 何時から何時まで使わせてくれるのか
  • いくらで借してくれるのか
  • お客さんからお金は取るのか
  • PA卓は通すのかどうか
  • 最低でもボーカルだけは音拾わなくてはいけないんだけどどうする?
  • 楽器隊全体のバランスを聴くに耐えるくらい揃えるのは至難の業だぞ

その他もろもろ多数、、、ほぼ課題しかない状態なんですけど、、

旗揚げ戦の直訴をするため。

摩天楼のガラス扉を勢いよく開けました。

「すいません!クリスマスにここでライブをしたいんですけど!」

「うん、いいよ。」

口約束界隈でも稀に見る気持ちのいい契約が、無謀な高校生と大らかなマスターの間で交わされました。

まあ不安要素だらけとはいえ

一応、約束を取り付けたからには課題をひとつずつクリアしていく工程に移るべきなんですが。

ひとつ根本的な問題を抱えていました。

バンドメンバーがいない

バンドをやるというスタート地点にすら立てていない。

でも大丈夫!

何とかなる

学校にはバンドをやりたい人達だらけ

ましてや夢のライブに出てみたい人達だらけの買い手市場だろうから

募集して、あとはこっちで選別するだけだから

という園児によくみられる「俺が好きなものはみんなも好きだよね」傾向の思考回路に陥っており。

バンド以前に人間的なイタさの方が深刻でした。

5月レスリング部の合宿を脱走してからそれは悪化したと思われます。

反乱を起こして長年悩まされたレスリングから解放された事により「行動さえ起こせば何とかなる」という考え方がモンスター化しておりました。

思い立ったら即行動!

出航は意外と順調でした。

当初、同じ山田中学校出身のミツルがドラムを引き受けてくれる事になり。ミツルの声掛けのおかげもあり何人か集まりました。

バンドスコアを人数分コピーして配って。各自、家で覚えてきて。

割とすぐバンド練習に入れました。

宮古のTSUTAYA。

ここのカラオケTSUTAYAには一室だけドラムセットとアンプが置いてある部屋があり。地元の高校生のバンド練習場所といえばここでした。カラオケと同じ料金で入れるし。

そこで初めて合わせたイエモンの「熱帯夜」にめちゃくちゃ感動しちゃって。

超カッコいいじゃん!!!!

これいけるよ!まだまだ荒削りかもしれないけど猛練習すればクリスマスまでには間に合うよ!

という俺の反応とは対照的に。

メンバーみんな冷静な反応でした。

「クリスマスライブは中止にして。もう少し練習してからにした方がいいんじゃない?」

「何で?!!!猛練習すれば良いじゃん!」

「いや勉強も部活もあるし」

「そんなのよりバンド優先でしょ?!」

メンバー達と心中してもいい!くらいの気持ちでバンドをやろうとする俺とみんなとでは温度差がありました。

そのうちみんなの約束を取り付ける事自体が難しくなってきて

しまいには最後まで味方をしてくれていたミツルまでパート違いのベースを買ってしまう始末。

なんでベースよ!!

ドラムは?!

もういいや!

バンドで心中する覚悟がない奴等とはやってられない。モチベーションの高い別のメンバー探すから!

もう、そこからは難航の極み。

心中仲間を探し求めて学校中を彷徨いました。

「観に行くよー!」という人なら結構いた。

なんでよ!

なんで「出させてくれ!」という志願者が現れねーのよ!

はあ、自分でも書いててイヤになってきた(笑)

とにかくかなり煙たがられてたと思われます。

ちょうどその時期。

ギターの師カズ君が組んでるバンドの練習を初めて観に行ったんですね。

同い年の人間達がやってるバンドを観るのも初めてだったんですけど

驚いたのが完成度の高さ!

ちゃんとバンドとして機能してる!

もうライブ出来んじゃん!

なのに終わったあとは。あーでもない、こーでもない、とミーティングする意識の高さ。

カズ君の話の中だけで聞いていたメンバー過半数が初対面で。

その中でのちにボーカルに転向するリズムギターのタケちゃんとはお互いチンコ同士をくっつけて挨拶するみたいな、そんな感じの初遭遇だったと記憶してるんですけど。

みんながゲラゲラ笑う中。

内心すんげー悔しかった。

なんで俺はメンバーに恵まれない?!

答えは明白!

カズ君達はちゃんと足並みを揃えている。

まだ収益を産まないアマチュアバンドは恋愛関係と似たようなところがあり

長渕剛「Don’t Cry My Love」の歌詞から引用するところの

きっと同じ道を同じ歩幅で歩いて行けたら

一番最初に練習した時のミツルはじめ他のメンバー達とずっとうまくやれてたはず。

それを俺が暴走してソッコーで離散した。

一度冷え切ってしまった関係は仲々元には戻らない。

そして離散の原因を100%他人のせいにして。

さらに暴走の勢いが増す。

そんな俺のもとに寄ってくる志願者など当然いるはずがなく。

「すいません。ライブやっぱりキャンセルでお願いします。」

「うん、いいよ。」

相変わらず大らかな摩天楼のマスターの声が電話口を伝って心に沁み渡った

淋しいクリスマスとなりました。

書いててうんざりするくらいイタ過ぎるエピソードなんですけど。

こんなにイタ過ぎるからこそ才能も後ろ盾もないのにバンドやるぞっつって上京できたのかなと。

それが良かったのか良くなかったのかは未だにわかりません。

そしてSNS全盛の今。もしも学校内でこんな感じでバンドメンバー探しをしてる生徒がいたら今すぐやめた方がいい。

さすがに居ないか(笑)

つづく

次回「1997年の安室奈美恵とBLANKEY JET CITY」←読めます。


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この記事を書いた人

岡市 尚士

岡市 尚士

ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。

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