岡市 尚士
プロレス好きのバンドマンが柔術黒帯になるまで 第48話「高校生ギタリストの光と影」
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出会った初日に下劣極まりない話を振ってきた『高校の隣のクラスの友達トクの中学時代の同級生』っていう遠縁の存在でしかなかった男が
2年間ヘタクソだったままの俺のギターに改革を巻き起こしてくれるとは。
そんな名伯楽・佐々木一也ことカズ君からギターの息吹を吹き込まれた高校一年1996年の夏休みも終わり
テレビの音楽番組ではのちに色んな意味で国民的な存在となるSPEEDが好調なCDデビューを飾ったり。
ウッチャン、千秋、ウド鈴木によるポケットビスケッツ「YELLOW YELLOW HAPPY」や
ヒッチハイクの旅ゴール目前の猿岩石への応援歌・爆風スランプ「旅人よ〜The Longest Journey」など
バラエティー番組発のシングル曲が目立ち始めたり。
まだ一線も超えておらず、まだ毒舌も売りにしてなかったニューフェイス達がお茶の間に加わった96年秋。
そんな顔ぶれをBGMとして。
部屋のテレビをつけっ放しにして秋を感じながら。
毎日取り憑かれたようにギターを練習していました。
学校から帰ってきて寝るまでメシ食う以外はずっと。
一日6時間くらいは弾いてたと思います。
前記事でも書きましたが柔術でも似たような現象があって
それまでたまにしか道場来なかった人が突然覚醒して。練習に行く頻度が増えはじめ柔術にのめり込んで行く。
心理状態はこれとほぼ同じでしょう。
ブルーハーツ、イエモンを中心にレパートリーの幅を広げていったんですけど
そこそこ弾けるようになってくると
新たな現象が起こりました。
「ギタリストの自我」みたいなものの芽生え
ギターソロが弾きたくなってくる
もう青臭えったらありゃしねえ(笑)
クオリティーは置いといて特に頑張って練習したのが以下の三曲
- ①レッドツェッペリン「天国への階段(Stairway to Heaven)」
- ②マイケルシェンカーグループ「INTO THE ARENA」
- ③ジェフベック「哀しみの恋人達(Cause We’ve Ended As Lovers)」
THE泣きのギターと言わんばかりのセレクションで青臭え。
レッドツェッペリンは①以外にもロックアンセム多数で「移民の歌(Immigrant Song)」はブルーザーブロディの入場曲としてもお馴染みですね。
同じプロレス繋がりでマイケルシェンカー②は1990年代初期のワールドプロレスリングの全試合ダイジェストBGMとして使われていました。小学生時代の思い出の曲がロックアンセムとして語り継がれてる曲だったとは。
③のジェフベックは説明不要でしょう。
アルバム何枚か買ったレッドツェッペリンは除いて。
マイケルシェンカーグループ②とジェフベック③に関してはこの曲目当てでアルバムを買ったんですけど
それ以外の曲。
ほとんど聴いてない。
一曲の輝きが凄まじすぎるが故の陰影効果
曲単位でダウンロードできる現代と違って聴きたきゃアルバム単位で手に入れなければならなかった時代。
田舎のクソ高校生に「捨て曲」と言われスキップされていた曲達の悲しみよ。
そしてこの頃はどこへ遊びに行くにもギター背負って行ってました。
しかしそれによる弊害も発生します。
コミニュケーションの欠如。
親睦を深めるうちにトクやカズ君は田の浜に進出してきました。
逆に田の浜の友人達を津軽石のトクの家まで連れて行ったり。
高校生になって行動範囲が広がったことにより芽生えた新しい交流。
新しい笑い声が生まれる中
みんなの架け橋である俺はずっとギターに没頭している。
いやいや、みんなで遊んでんだから。
帰ってから弾けよ。
いや違うんですよ。
みんなに聴いてほしいんですよ!
ほめてほしいんですよ!
ドヤりたいんですよ!
カズ君なんかイケてないプレイに対して正直に指摘する反面、イケてた場合は目をキラッキラ輝かせながら驚いてくれるから
その反応が気持ちいいんですよ。
そして田の浜のみんなからギター的リスペクトされてるカズ君がおおおおおおってなると。
みんなもつられて凄えぇってなるから。
下向いてギター弾きながら待ってるんですよ。
ドヤり待ちなんですよ!
みなさんの周りにもいませんでした?!
こんな奴。
見せたい奴が好きに投稿して。見たい奴らがいいね!を押せるSNSなんてまだなかった時代。
よく見られた風景なんじゃないでしょうか。
お金の取れるプロギタリストじゃなくて。中途半端なやつのギタープレイの押し売りなんか◯◯ニーを見せられてる以外の何物でもないんですよ。
同級生のイッてる顔なんか誰も見たくねえんですよ。
もし今の時代にこれをやってる奴がいたらマジでやめた方がいい!!
先ずはYouTubeへの投稿方法を覚えよう。
俺も今高校生ならそうする。
時代が憎い(笑)!!
つづく
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この記事を書いた人
岡市 尚士
ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。
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