岡市 尚士

岡市 尚士

2019.12.16

フレッシュたもりを夜逃げ、その後の逃亡生活 「プロレス好きのバンドマンが柔術黒帯になるまで/第84話」

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逃走を図った俺が流れ着いた先は、紫波町のフレッシュたもりNACS店から南に離れること約15キロ

岩手第四のベッドタウン・花巻市でした。

潜伏先であるアパートの一室で

朝、目を覚ますと

枕元のPHSが″非常事態″をお知らせするかの如く慌ただしく鳴り始めました。

昨日の晩

「新しい人生が始まる!」と花巻に向かってる道中は、まるで映画の主人公にでもなったような気分で

そんな物語のサントラとして、発売日ホヤホヤのハイスタの新アルバム「MAKING THE ROAD」は最高過ぎる傑作でした。

そして、しばらく俺を匿ってくれる事になった、このアパートの住人

3ヶ月ぶりに会った、わがバンドのドラム澤田くんは

その180センチを越す体躯にホワイトアッシュの髪色がよく映え、まるで若手カリスマ美容師とでも言わんばかりのルックスに変貌を遂げていましたが

朝「じゃあ仕事行ってくるね」と玄関から出ていく、澤田くん独特の柔和なトーンは、高校卒業時の三ヶ月前と何ら変わりないソレでした。

さて、時期尚早のセミみたいに鳴り止むことのないフレッシュたもりからの着信の嵐。

最初はダンマリを決め込んでたんですけど、いざ仲の良い先輩の名前がPHSのディスプレイに表示されると、良心の呵責にかられ、あっさり電話に出てしまいました。

その後、他の先輩達からの着信に応じているうちに、おそらく辞意がフレッシュたもり上層部に伝わったのか、追鎚の着信はピタッと止みました。

俺はこれにてフレッシュたもりを退職したことになっています。

自責の念に駆られたのはその後。

こんな身勝手で強引な辞め方をしたにも関わらず、仲良かった先輩達はその後も俺との付き合いを継続しようとしてくれました。

たまに遊んだり、実家に泊まりに来てくれたこともありました。今でもFacebookで繋がってますし。

こんな優しい人たちに火の粉を振りかけてしまって。俺はなんて事をしてしまったんだ!と。

だから決めたんです。金輪際、逃げないと。

コレ以降はどんな些細な仕事だろうが、ちゃんと辞めますって言ってから辞めてます。我ながら何て次元の低すぎる誓い(笑)

そしてどの口が言ってんだ!と言われそうですけど、こん時は確かに迷惑をかけたかもしれない。でもフレッシュたもりにとって俺の夜逃げなんか長い目で考えれば大した迷惑でもないんですよ。長い目で考えればですよ。

それとは比べ物にならないくらい迷惑をかけてしまった人物がいるんです。

もちろんフレッシュたもり関係者ではありません。

その人物は、俺の逃亡先であるアパートに

「ただいまー」と、その独特の柔和なトーンで帰ってきました。

澤田くんです。

澤田くんは親戚の口聞きで、花巻の美容室に見習いとして入っていました。

俺はそんな澤田くんを″さらい″に来たのです。

辞めて、一緒に地元に帰ってワッチャンとバンドやっぺす!と。

さすがに「いやぁ、、」と困惑する澤田くんでしたが、俺は居座り続けました。

そんなある日、澤田くんに風呂を借りてシャワーを浴びていたら、勤務先の美容室の上司と思われる方が突然、訪ねてきて、

部屋にズカズカ上がってきた!

と思ったら澤田くんに対して何やら話し始めたんですけど、一瞬でその緊迫した空気感が風呂場まで伝わってきて、すぐ説教だと分かりました。

俺は全裸のまま浴室で固まって、そのまま聞き耳を立てていると、、

その会話のやり取りから、どうやら澤田くんは店に辞める意思を伝えている?!と思わしき内容でした。

そして話はあれよ、あれよ、と転がっていき

「ヒロアキ(澤田くんの名前)これから、もっと大変になると思うけど、実家帰っても頑張れよ」

その他もろもろの労いの言葉を残して、その上司の方はアパートから出ていきました。

、、!!!!

全裸のまま慌てて風呂場から飛び出た俺に対して

澤田くんはこちらを振り向き

「おがいっつぁん、帰ってバンドやるすか」

その独特の柔和なトーンで、ニコッと笑いました。

サクセスストーリーなら、これ以上ない最高の序章でしょう。

ここでMAKING THE ROAD/1曲目の「Turning Back」が流れ、地元へ″Turning Back″する澤田くんと俺

しかし、この物語がとても恐ろしいのが

全然サクセス(成功)しなかったことです。

そして勝算ももちろん無ければ、責任感も無い。

かつてフライデー襲撃事件を起こしたビートたけしは巻き添えにしてしまった軍団員に対して

「俺もお前らも芸能界にいられなくなっちゃってごめんな。土方やってでもお前らを一生養わなきゃなぁ」と言ったとされていますが

一か八かで俺に賭けた澤田くんに対して、そういった責任感のようなものは全くありませんでした。

それどころか、この翌年

東京に旅立つ日、深夜バスの出発地点である宮古駅まで車で送ってくれたのも澤田くん

俺が高校時代から抱いていたバンドをやりたいという野望と、軽はずみにもほどがあった5秒で決めた就職活動

次から次へと人を巻き込んでいき

結果、澤田くんの美容師としての未来を壊しただけの行為に過ぎませんでした。

フレッシュたもりの先輩達に対して抱いていた自責の念って、澤田くんにこそ抱くべきなのでは?!

そして結果論になってしまいますが。最初から、高校卒業後、一人で東京来てりゃ。

そうすれば誰にも迷惑なんか掛からなかった。

この1999年。俺が一年かけて、わざわざ撒き散らした″害″って「ノストラダムスの大予言」なんかより、よっぽどタチが悪かったんじゃないかなって

もしかして俺って自分で思ってるよりも、もっとクズなんじゃねーの?!

って事に気がついたのは上京してから、だいぶ経った頃でした。

次回は、そんな1999年に撒き散らした害を徹底分析し、自戒の念とさせていただきますと共に「あ、こんなクズにはなりたくないな。なって欲しくないな」そう感じていただければコレ幸いでございます。よろしくお願いします。

-余談ですが-

この夜逃げ&澤田くん道連れ騒動から10年後の2009年、帰省した際におよそ9年ぶりに澤田くんと再会する事になったんですけど

待ち合わせ場所である宮古駅前のモスバーガーに先に到着していた俺は内心ドキドキしていました。

風の噂によると「葬儀屋」に転向したと。

180センチを超す長身で、葬儀屋・・

どう考えてもWWEのレジェンド″地獄の墓掘人″ことジ・アンダーテイカーしか連想しないんですよね。

店に入ってきた瞬間、このテーブルにチョークスラムで叩きつけられて。壊れたテーブルの上にツームストーン・パイルドライバーで脳天から落とされるんじゃないか?

″積年の後ろめたさ″を胸に待っていると地獄のドアが開きました。

「おがいっつぁん、久しぶり!」

モスバーガーに入ってきた地獄の墓掘人は、高校卒業時と何ら変わりない、その独特の柔和なトーンのままの澤田くんでした。

バンド活動と就職活動は慎重に!

つづく

次回「19歳の俺はなぜクズだったのか」←読めます。

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この記事を書いた人

岡市 尚士

岡市 尚士

ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。

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