岡市 尚士
幻のアクシス柔術アカデミー入会 「プロレス好きのバンドマンが柔術黒帯になるまで/第113話」
前回(こちらから)触れさせていただいた失恋なんですけど
よく「時間が解決してくれる」って言いますよね。
でも、その時間が過ぎるのを待ってるのって、途方もなくツラくないですか?失恋中の皆さん
そこで俺がお勧めするのが「格闘技」
ボコボコにされてる一時は、あなたの鬱々とした思いを本当に忘れさせてくれますよ!
ボクシング、キック、空手、相撲、レスリング、何でも良いと思います。
俺の場合、たまたま前店舗カクヤス経堂店が潰れて、移動した先「祖師谷大蔵店」
そこにいたバイト仲間/柳沢誠が
たまたま通っていたのが「アクシス柔術アカデミー」だったというだけの話で
それどころかブラジリアン柔術なんて選択肢としては一番遠いところにありました。
この2000年代前半というのはPRIDEにおけるアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラなど柔術ベースの選手達の活躍で、自分も初めてみようって人達が多かったと思われるんですけど
しかし小学生の頃からプロレスで育ってきた俺にとって「柔術」というのは憎っくき黒船であり敵
2004年がいくら総合格闘技ブームで、政府同士はとっくに和解しているとはいえ、プロレス村の一般庶民の中にはまだ怨念の残り香みたいなものはあって
俺自身も「プロレス畑から育ったもの以外は認めたくない」という気持ちからか、どうにもブラジル人ファイターには感情移入が出来なくて
どうしてもU系出身の選手の活躍の方に熱狂してしまうクチなんですけど
そんなプロレス村にいた俺が、いくら失恋で精神的にズタボロだったとはいえ
生まれて初めて出会ったブラジリアン柔術をやっている人間で、かつ陽気で人懐っこい性格の柳沢に取り込まれてアクシス柔術アカデミーの無料体験に行ったというのも
なんとも総合格闘技によってプロレスが端っこに追いやられていた時代を象徴するかのような出来事のように思えてきますが
なので失恋を忘れさせてほしいという気持ちが半分、残り半分は「柔術なんか、なんぼんのもんじゃい」という腕試し的な(笑)
そんな、ちょっと厄介な想いを懐に忍ばせて行ったんです。
明大前「アクシス柔術アカデミー」
まず面食らったのは、その「ファミリー感」
ただでさえ嫉妬が渦巻くバンド界に生きている上に、失恋で精神がギスギスしていてる時に行ったもんだから、なんだか斜に構えちゃって
みんなのファミリー感が強ければ強いほど、なんだか余計に孤独を感じてしまって白けちゃったのが本音です(笑)
でもこれは道場あるあるかもですよ。体験初日って、かなり「孤独」なんですよ。
そしてアクシス柔術アカデミー代表/渡辺孝真先生によるクラスが始まりまして
マット運動にしても、テクニックにしてもレスリングの概念には全くない動きばかりで
正直「え、こんな動きが実戦で役に立つの?」と(笑)
もちろん熟練者は使いこなせるのだろうけど、高校時代までパワーとスピードと″慣れ″だけでレスリングをやっていた三流の自分にとっては
全然ピンとこなかった柔術たる所作
それを身をもって思い知らされたのが、その後のスパーリングでした。
とにかく力ではどうする事も出来ない、もどかしさね。
それはすなわち「技術」という事なんでしょうけど。もちろん、この時にそう思ったわけではなく。
ただただ、もどかしいんですよ。力で捻じ伏せようにも仲々うまくいかない!
一本目こそ俺と同じような初心者相手に「タックルで倒してチキンウイングアームロック(キムラ)」という、高田道場でやった時みたいな大味な闘い方でも何とかなったんですけど
次にあてがわれた相手が、同じく白帯の選手で。しかも見た目ヒョロくて全然強そうじゃないのに
なんつーか、全然うまく封じ込めないんですよ!
タックルでテイクダウンしても、そのあと、ネチネチと良いポジションを取ってくる。
もしかしたら俺の一本目のスパーリングを監視していた渡辺先生が、青帯間近で上手い白帯の選手をあてがったのかもしれません。
スピードを活かして常にフルパワーで闘う初心者はちょっと周りの注意が必要ですから。
しかし、青帯であれば何となく強いだろうな、というのは予想してましたけど
白帯でも、まさかここまでだとは、ホント予想外で・・
とにかく、もう何回やっても同じ展開で!
イライラするわ〜って
三角絞めかなんかの体勢に入られた時「あ、チャンスだ」と思ってパワーボムをやったら
「ソレ反則ダヨ!」と注意されて、柔術ではスラム(持ち上げて叩きつける行為)が反則だというのを初めて知るんです。
これって普通ならスパーリング参加を止められてもおかしくないぐらいの行為なんですけど
柳沢の連れだったからなのか、特にお咎めなしで。そのあとは白帯ではなく色帯の方々が相手してくれたっていうのは「クラッシャー系のあの白帯をどうにかしろ」っていう暗黙の了解だったのかなと(笑)
とにかく華麗にやっつけられましたよね。
当時、青帯だった柳沢とか。あと覚えてるのが現在アンビシャス柔術アカデミー代表/伊東圭さんとかもまだ青帯だったんですけど
荒々しいはずの俺の攻撃を一旦受け止めた上で、丁寧にやっつけてくれるので
しかも体重だって俺と同じくらいかヘタしたら俺より軽いかぐらいですよ。
「あぁ、こりゃあ青帯以上には敵わないわ」と
あと覚えてるのがガッチリした小太りの青帯のオジサンに、ラフな感じで容赦なくボコられて、絞めで口の中を切った事ですね。
ラフでビンビンな白帯の若者を、怪力色帯オジサンが潰す。という図式はいつの時代も同じなんですかね(笑)
それにしても体験初日に完膚なきまでに叩きのめされたもんだから
すげー自信喪失しちゃって
この前、長南さんに連れられて吉田道場に行った時っていうのは、みんなバリバリのプロだから、やられても当然でしょ。
でもアクシス柔術アカデミーは、ほとんど学生や社会人でみんな趣味でやってるような人達だし
「たかが組技だろ、もし殴る蹴るあれば勝てるわ」なんて気持ちもあったんですけど
とんでもない、もしストリートファイトになったとしても、この人達には絶対勝てない。
しかし青帯でもこんなに強いんだから、それ以上の帯ってどれだけなのよ?!って
当時のアクシスは青帯の上である「紫帯」もそんなに多くなくて
受付をしてくれたカルロス、パウロの倉岡兄弟も、確かまだ紫帯だったかで
その上の「茶帯」も確か昇格したばかりのクリスチアーノ上西さんひとりだけで
「黒帯」に関しては渡辺先生ひとりだけ
だから「柔術っていうのは気の遠くなるような果てしない世界なんだな」って思った事だけは確かなんですけど、ただそれだけで
「楽しい」なんて全く思いませんでしたね。
こうして体験初日は終わりました。
だから帰り際、柳沢に言ったんですね。「俺、まじで自信なくしたわ」みたいなことを
そしたら「いやいや、まだまだこれから強くなりますよ」っていうわけです。
まあ、こういうのって世界中の柔術道場どこにでもある光景だと思うんですけど
多分、その当事者の誰もが思ってるであろう「お世辞で言ってくれてるんだろうな」程度にしか柳沢の言葉を受け取れなくて
特にこういう俺みたいな身体能力と感覚だけで闇雲に生きてきたタイプの人間っていうのは
知らないんですよ。「技術の魔法」っていうんですかね。
正しい方法・手順でしっかりやれば伸びるっていう経験をしたことがないから
「もうこれ以上、飛躍的に強くなることはないだろうな」と高を括ってるところがあって
ただ、失恋による鬱々としたものはスパーリングしてる間だけは忘れられるかもな、と。
怪力オジサンに絞められてる時なんか必死だったし(笑)
だから柳沢の言葉は響きませんでしたけど「また絞められに行こうかな」って
もう1回だけ無料体験オーケーだったので
でもまあ2回目の柔術も似たような感じで
悔しいし、イライラするし、怪力オジサンには殺意湧くし(笑)
全く「楽しい」とは思えないんですけど
でも、やっつけられてるあいだは、日々抱えている鬱々としたものが消されて、精神的に和らぐような気がするんですね。
した事ないですけど、リストカットもこういう気分なのかなぁって
だから精神的なリハビリとして柔術は適任なんじゃないかな、と。
んで立ち直った頃にちょっとでも上手くなっていればラッキーだな、ぐらいの感覚で
アクシス柔術アカデミーに入会するつもりで手続き用紙もろもろをもらって帰りました。
しかし運命とはなんとやら・・
柳沢の言う「強くなりますよ」は決して根拠のないお世辞なんかではなく、ちゃんとした裏付けがあり
その裏付け=「柔術の技術」というのは柔術最大の旨味であり
それは例えば、知り尽くしているはずの実家に「え!こんな部屋があったの?!」っていう驚きにも似ていて
その部屋を知ってしまったら、中毒になってしまうほど柔術が楽しくなる
柳沢がすでに知ってるであろう、そんな柔術の良さを知るのは
これから4年も先になってしまいます。
アクシス柔術アカデミーのある明大前から登戸に帰ってきた俺に″運命を左右する電話″がかかってきました。
このシリーズではお馴染みのレスリング時代の恩師/上野三郎先生の長男であり宮古商業時代の後輩
電話の主は当時、専修大学レスリング部4年生だった上野堅太郎(現・宮古商工レスリング部監督)でした。
この頃、飲み仲間として頻繁に″良からぬ会合″を開いていた堅太郎からの電話はいつものことで
まあ、この日も登戸だったか向ヶ丘遊園だったか忘れましたけど、近場の居酒屋で飲み始めまして
普段スケベな話ばかりで、格闘技の話なんかほとんどしない俺らなんですけど
アクシス柔術アカデミー無料体験の帰りっていうのもあり「今度、ブラジリアン柔術始めようかなと思ってんのよ」って話ましたら
「先輩、格闘技をまた始めようと思ってるんですか!?
・・であれば、良かったらこれから一緒にU-FILE CAMPに通いません?
大学の同期達が週一回、U-FILEで練習してるんですよ。
田村潔司さん達と
先輩さえ良ければ是非、行きましょう!」
、、と言われた俺の心には
「UWFのテーマ」が鳴り響いていました。
つづく
次回「まさか赤いパンツの頑固者に巡り合える人生になるとは、そんな夜明け前、、その他【2004年総評】もろもろ消化試合」←読めます。
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この記事を書いた人
岡市 尚士
ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。
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