岡市 尚士

岡市 尚士

2020.10.21

バックボーンのレスリングを捨てた俺が柔術で勃起する第一歩を踏むまで 「プロレス好きのバンドマンが柔術黒帯になるまで/第135話」

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今日からタックルもパスガードも一切やるもんか!

自分から寝ろ!レスリングを捨てろ!

この発想に至ったのは、ただの苦し紛れからでした。

現実逃避というやつです。

キャリア5ヶ月未満で出場した柔術デビュー戦を終え(詳しくは前記事「柔術デビュー戦!ボーダレスカップ〜2009年は柔術で勃起できんのか?!〜」参照)

二勝して3位に入賞した喜びよりも

一敗して3位で止まってしまった現実に

このままのレスラーズスタイルだと、そのうち柔術的に迷子になり、続けるのが苦痛になり、道場から足が遠退き…

また喫煙とオナニーだけの日常、精神的インポ、無駄に生きる意味とか考えてしまう日々、、

それらに逆戻りする″未来予想図″が見えてしまって…

…だったら、いっそのこと開き直って

180度真逆の発想で、不慣れな下からの仰向け寝技をやってしまえ!

、、という実に安直すぎる考えからの方向転換だったんですけど

この苦し紛れの方向転換が

まさか、勃起カムトゥルーへの第一歩になるだなんて

板谷くん主催の合コンに、柔術大会の金メダルを持参してきて女性陣に触らせて「わぁ、本物」と言われている黒田先輩を見て「俺も、いつか黒田さんみたいになれるんだろうか…」という不安と

「今夜、何か起きねえかな…」というスケベ心の間でぐらぐら揺さぶられている時の俺には

全く知る由もありませんでした。

《全4項目》

◼︎レスリングとパスガードは隣同士ではあるんですけど、その境界線がすげえ解り難いところに失敗の秘密が隠れている《1/4》

柔術デビュー戦のボーダレスカップに向け、高校レスリング部以来、10数年ぶりに耳が湧くほどタックルに取り憑かれていた俺が

大会以降、人格が変わったように自ら背中をマットに着けはじめたので

ホージャマシャード、トイカツ道場の関係者一堂

一斉に「気でも狂ったんか?!」と…

たしかに「レスリング」と「パスガード」はお隣同士ですから″非レスリング者″から見れば

レスリング出身者=パスガードも得意だろう、という考えが発生するのは当然ですよね。

しかし、レスリング出身者ほど痛感してるんです。

「レスリングとパスガードは全くの別物だ」と

そんなレスリング出身者を悩ませる一番の問題

「レスリングとパスガードは全くの別物だと認識しているにも関わらず境界線が分からない。」

これが問題なんです。

たとえば俺みたいな三流以下のレスラーでもタックルで倒した延長線もそのままのノリでパスガードが成功することがあります。

その反面、これが青帯以上の慣れている相手となるとそうはいかない

そのままレスリングのノリで攻撃を続けていると結局コロっとやられたり、極められたり

これって、きっとレスリングとパスガードには境界線のようなものがあって

その境界線前後でレスリングのノリからパスガードのノリに切り換える必要があるんだろうけど

その境界線を越えても、レスリングのノリでやろうとするから失敗するんだろうな

…というのは、ようやく理解できるようになったんですけど

でもその境界線がどこなのか全く見えない!

ていうか、その境界線を理解する=パスガードのノリをある程度カラダが理解してこそだよな?!って

それって超難儀ですよね?

ここで一流のレスラーであれば

パスガードのノリを、いち早くカラダに染み込ませてレスリングとアジャストするという超難儀を克服できるだけの精神力も持ち合わせているんでしょうけど

八百長試合で引退したような三流以下のメンタルしか待ち合わせいない俺には無理な話ですよ。

きっとブラジリアン柔術が嫌いになる

だから俺は逃げる!

パスガードはやらない!

◼︎下からの寝技をやるとは言ったはいいけど、何をやったらいいか分からない(笑)《2/4》

でも逆に清々しいもんですよ。

レスリング/パスガードの出来てるんだか出来てないんだか分からない風景でウジウジ悩むよりも

下からの風景なんて初めてなので、とりあえず最初は色々やってみたら良いじゃない

当時ベリンボロこそ誰も知らなかったものの

デラヒーバ、リバース・デラヒーバなんて誰も呼んでなかったスパイラルガード、ホレッタ、草刈り、、

OK、OK、、、全然上手くいかない!!

しかし下の練習を始めて早々

俺は「ある法則」を見つけました。

下から闘っていて「やられる時」っていうのは大概、デラヒーバだったり草刈りだったり、こちらの方から何らかの大技を仕掛けようとした際に

「負けのターン」が高確率で発生してる事に気付いたんですね。

負けのターンに突入してしまったら最後!あとはもうどんだけ頑張ろうが大体やられる。

ならば!その負けのターンを生み出しているそもそもの要因と思われるデラヒーバも、、

草刈りも、、スパイラルガードも、、

、、しなければいい!

何も攻撃しなければ良い

この発見はまさに「勃起への第一歩」でした。

これを2020年10月現在、日本列島に社会現象を巻き起こしている「鬼滅の刃」風にいうと

勃起の呼吸!!壱の型!!ガードの体勢キープ!!!という感じでしょう。

◼︎「雑なパスガード」をしがちな初心者達とのスパーリングはガード初心者の感覚を養ってくれる《3/4》

ガードの体勢キープ!!!

っていっても相手方のパスガードがあってこそなんですけど

そこでトイカツ道場でのスパーリングがガード技術の向上に繋がったと思っております。

ホージャマシャードだと青帯以上の先輩方はちゃんと手順を踏んでパスガードしてくるため、ガードの体勢キープに割く時間がどうしても少なくなってしまうんですよ。

特に新井先輩なんかどんなガードですら、まるで布団を畳んでるみたいに相手のカラダをコンパクトに折り畳みますから全く分からないんですよ。

その点、トイカツ道場っていうのは今もそうですけど初心者の一定数がめちゃくちゃ多いんですね。

初心者が多ければその分、雑なパスガードを仕掛けられる割合がグンと増えますので

自分で意識さえすれば、一時間のスパーリング中に、ガードの体勢キープをしているだけの場面をより多く生み出すことが出来ます。

スパーリングで「打ち込み」するような感覚ですね。

「やられてあげるテイ」の脱力した打ち込みを何回もやるより、よっぽど効果的なんじゃないかなと個人的には思いますね。

そういった意味でも、俺は自分より弱い人との練習は必要だと思う派です。

…ていうか、インストラクター目線で考えると何やってんだ!って話ですけどね。

会員さんより自分が強くなる事しか考えてないですしそして何よりレスリングコーチとして招聘されているくせに、スパーリングでレスリングを1ミリもやらないんですから(笑)

◼︎なぜか、やたらクローズドガードに落ち着く事が多くなった《4/4》

このように「ガードの体勢をキープする練習」をするようになってから、しばらく経つと

なぜか、やたらと「クローズドガード」に落ち着く事が多くなりました。

このカラクリを説明いたしますと

「雑なパスガード」というのは非常にバランスが悪く

相手を抑え込もうとする際、ついつい膝を床に着いてしまう事例が起こりやすいんですけど

これって「クローズドガードに入ってください」と、言ってるようなものなんですね。

しかし、そんなカラクリなんか知らず

今日も懸命にガードキープしたり、クローズドガードに落ち着けたり

毎回そんなんをやっておりましたら

当時チームホージャマシャードでの練習で毎回お世話になっていた「鈴木さん」(なんと俺が始めるキッカケである北岡悟さんのトレーナーで、試合のセコンドも務めている!)

当時、紫帯だった↑の鈴木敏敬さん(パンクラス審判部長・廣戸聡一氏(骨法出身)主催/廣戸道場を経て現在は下北沢で鈴木コンディショニングラボを開業)

…という紹介にやたら情報量の多い鈴木さんから

ガードを練習するなら、コレ↓やった方が良いよ!と言われて

鈴木さんの言いつけ通り、毎回練習前と終わりに左右10回ずつくらい、これをやるように心がけるようになりましたら

急激にクローズドガードに落ち着く頻度が以前よりもグンと増えまして

それはトイカツ道場の一般会員さん相手だけではなくホージャマシャードの先輩相手でも、その場面に遭遇するようになり

まあ、クローズドガードに入れたところで何をやれば良いか分からないんですけどね。

腕十字固め、三角絞め、シザースイープ…

OK、OK、、、全然上手くいかない!!

しかしクローズドガードからの風景を見始めて早々

俺は「ある法則」を見つけました。

…あれ、これどっかで思ったのと全く同じだぞ

クローズドガードから闘っていて「やられる時」っていうのは大概、腕十字固めだったり、シザースイープだったり、こちらの方から何らかの技を仕掛けようと

「脚を開いた際」に、そこからズルズルと・・

「負けのターン」が高確率で発生してる事に気付いたんですね。

負けのターンに突入してしまったら最後!あとはもうどんだけ頑張ろうが大体やられる。

ならば!その負けのターンを生み出しているそもそもの要因と思われる腕十字固めも、、

三角絞めも、、シザースイープも、、

、、しなければいい!

何も攻撃しなければ良い

…と、文書をまるっきりテンプレート化するかの如く ″しなければいい″思考に徹しておりましたら

クローズドガードの体勢のままスパーリングの5分間が終わった・・!

…先輩との5分間を、殺されずに何とか最後まで生き抜けたのなんて初めてで

そりゃ、もうクローズドガードでしがみついてるのに必死だったんですけど・・

でも、この時、閃いたんです。

永遠に脚を閉じていれば

永遠に勝てはしないんだけど

…その代わり、負けもしない!!

つづく

次回「ジョー・バイデンと僕の11年間闘争〜まさか自分にブラジリアン柔術の才能があったなんて〜」←読めます。

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この記事を書いた人

岡市 尚士

岡市 尚士

ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。

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