岡市 尚士

岡市 尚士

2019.08.14

プロレス好きのバンドマンが柔術黒帯になるまで 第54話「パワハラ」

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体育会系カースト制度の最下層を回避し。

堂々たる先輩として2年生からレスリング部に復帰した

なんだか卑怯な俺。

待っていたのは

そろそろ引退する優しい先輩達と

鬼のように強くなってた同級生達と

奇人変人揃いの1年生達でした。

時は1997年(平成9年)

平成っつったって体罰、いじめ、シゴキが日常風景に溢れていて

やがて台頭するインターネットによって討伐される事になるハラスメントの大花火が

全国各地で派手に打ち上がっていた最後の時代だったんじゃないですかね。

90年代後半って。

治外法権ともいえる当時の体育会系においては常識であった「かわいがり」の文化。

それはここ宮古商業レスリング部にもおいても然りだったんですが。

決してリンチや鉄拳制裁みたいな陰湿で凄惨なやつではありませんでした。

大体あんなもんは能無しがやることで非常にナンセンス。

我々のそれは笑顔の絶えないとてもピースフルなものだったと自負します。

そんな“儀式”の中で最も秀逸だったのは

なんといってもEAT(イート)でしょう。

ところで皆さん。

ミートパイってご存知でしょうか。

男性なら100人中100人が知ってるのでこれについて詳しくは説明はしませんが。女性でご存知ない方はググって調べていただければ此れ幸いです。

このミートパイにも仮性ミートパイ、真性ミートパイ、カントンミートパイと種類がございまして。

その中の仮性ミートパイ

男性の″御子息様″というのは出生した段階では皮に包まれてるんですけどその皮が成長と共に剥けたり剥けなかったりするんですが。

剥こうと思えば剥けるけど通常時は皮に包まれていた場合、上記の呼称で呼ばれます。

後輩の1年生の中に

まあ本人の地位と名誉があるので名前は伏せますが。

この仮性ミートパイのスペシャリストとも言えるほどの人間がおりまして。

それは良いんですが。

やっぱり普段、皮に包まれている分。蒸れやすく残尿の垢などが溜まりやすいため

常に清潔を保っておくためには適度な「洗竿」が必要だと思うんですけど。

この後輩の皮をめくりますと

殺人級の悪臭が鼻をつんざく!

それこそ地下鉄なんかで放たれたりしたら、きっと騒動になりますよ!

我々はそれに目をつけた。

ハードな合宿中の休憩中。

息抜きっていっても金も無いから。

仕方なくトランプとかやりますよね。

でもそこで、つまんねー!とかって鉄拳制裁なんかに走るのはナンセンス。

しかしインテリジェンスな我々は違った。

そこで誕生したのがEAT

やっぱり罰ゲームがスリリングだとトランプの質が変わってきます。

負けた人間の末路はこうです。

①その仮性ミートパイを本人協力のもと皮を一旦剥いてもらう。

↓↓

②トランプの敗者は剥いた「中身」を

親指/人差し指/中指の三本で摘む。

↓↓

③GOサインでミートパイ本人は己の皮を離す。

↓↓

④皮はみるみるうちに戻り、、、

指が皮にEAT

これね。

洗剤とかクレンザーとか使ってどんだけ洗っても半日くらい全然匂いが取れないんですよ。

同じ罰ゲームならジュース全員分とかの方が全然マシ。

でもこのEATの何が素晴らしいって。

笑いがあるんですよ。死ぬほど臭いけど。

ミートパイ野郎本人も笑ってたし。

指三本だけが犠牲者っていう。

当時、岩手県内の全レスリング部が集まる合宿って頻繁に行われていたんですが。

午前練習してメシ食ったあとの休息時間の過ごし方って。ほとんどの部員が

遺体安置所の屍のごとく布団から全く動かず。

やがて訪れる午後練の憂鬱から現実逃避してると思われる光景が見られるんですよ。

ところが一年ぶりに復帰した宮古商業/宮古水産レスリング部には

常に笑いがあった。

このEATだけではなく

活字には出来ませんが。

ある後輩にはアレをアレさせたり、、

またある後輩の綿棒一式全てをこっそり「肛門通過済み」にしたり、、

この愉快な後輩達と我々同級生達が織り成す

コンプライアンスのかけらもないゲスな日常は

パワハラ最後の時代にうっかり復帰してしまって、やっぱり後悔してる俺にとっては

命綱そのものだったなとコンプライアンス、コンプライアンスうるせえ2019年現在そう思うわけです。

パワハラに押し潰されそうな時代を″御子息様″達が救ってくれた(笑)

それを

「かわいがりの波」をほとんど浴びず。その波に乗るところから現場復帰したお前が言うなよ!

しかも、それってイジメと一緒じゃないか?という感じですが。

でも、そうでもしないとやってられない俺を

「やっぱり復帰するんじゃなかったな」と

さらに後悔させる出来事が起こります。

つづく

次回「バンドやっぺす」←読めます。

※注/現在の宮古商業レスリング部は上野堅太郎監督のもと品行方正な部活に生まれ変わり。決して我々みたいなクズな時代ではありません。


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この記事を書いた人

岡市 尚士

岡市 尚士

ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。

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