岡市 尚士
悪魔のいない企業というのはこの世に存在したのだ…そして俺は柔術の神に導き出され始めた、という自慢込みの企業PR「プロレス好きのバンドマンが柔術黒帯になるまで/166話」
悪魔はいつだって俺のそばにいた。
子供の頃から歳月によってその姿かたちを変えながら
お母さん、レスリング部、東日本大震災現地における一部の人間、etc…
人間をやっていくのであればストレス、ハラスメントが付いてくるのは、もはや人間としての常識
生きるってそういう事。
この想いは、カチさんを介して近藤哲也先輩から紹介された介護事業所「Piece(ピース)」で働き始めても揺らぐことは無かった。
その健全さに満ち溢れたPieceという名前は利用者やヘルパーの一人一人が輝けるようパズルなどで用いられる「個」の意味合いも込められているようだが
このパズルが完成した暁には
どんなツラした悪魔が浮かび上がるのか
それまで心を開くわけにはいかねえ、と
面接でフレンドリーに対応してくれたモヒカン社長を前にそう心に誓い、働き始めてからしばらくのあいだはダンマリを決め込んでいた俺だったが
その重い口をようやく開いたのは
Pieceに入って10ヶ月ほど経った
2013年暮れの忘年会だった。
長い沈黙を破って
二次会のカラオケで、ジャッキー・チェン/ポリス・ストーリーの主題歌「英雄故事」を選曲したのは
みなさん、ずっと疑ってきて、ごめんなさい。そしてこれから改めてよろしくお願いします。という俺からの決意表明みたいなものだった。
悪魔のいない企業というのはこの世に存在したのだ。
それまで33年間生きてきた人生の物差しで測った場合ここPieceには天使しかいない。
前記事「渡る世間は悪魔ばっかりだな!! 」においてこのPieceに入るまでの経緯を紹介した所、かなりの反響があったので、今回はもう少し詳しく企業PRをし悪魔に悩まされている人々の脱国幇助に努めたい。
あんなに生きづらさを感じていた俺が
2013年にPieceの面接を受けてから2021年8月現在に至るまで、8年以上も気楽そうに人間をやれているのは
モヒカン社長はじめ幹部達の人間性もさることながらこの自由(に感じる)な勤務形態のおかげだろう。
以前は「介護」と聞いてボンヤリ浮かぶイメージって
白い建物、白い介護ウェア、毎朝タイムカード押して
裏ではベテランのババアやオッサンから暴言や陰口を叩かれながら日勤/夜勤の二交代をこなす。
みたいな。申し訳ないがその程度のイメージしか持ってなかった。
しかしPieceはそのどれにも該当しなかった。
そもそも建物自体がないし、自社ウェアもない。毎日決まった時間通りにタイムカードを押すこともない。
すべてがイメージとは真逆だった。
その勝手に描いていたイメージを例えば「中の世界」とするならば「外の世界」に我々はいる。
同じ介護でも、中と外では世界観が全く異なるのだ。もちろん介護はそれ以外にも多岐に渡るのだが
そして我々Pieceの利用者さんの多くは平日の日中は「中の世界」に行き作業/リハビリ/日中活動などを行なっているのだが
それに関して我々は全くノータッチである。
しかし、やがて定時になり利用者さん達が″自由の身″となってからが我々Pieceの出番である。
要するに彼ら彼女らのプライベートの相手をするのが我々の仕事なのだ。
一緒に飯食いに行ったり、カラオケや映画に行ったりアイドルのライブや握手会、メイド喫茶に行くこともある。AVが借りたけりゃ一緒に選んだりもする。
もちろん家でゴロゴロしながらゲームやったり、暇だっつって散歩しながら無駄な時間を過ごす事もある。
晩酌の相手をして一緒に酒を飲んだりもする。
さすがに風俗はまだ無いが、ダメではない。全然ありなのだが単にまだ依頼が無いだけだ。
このように、もうとにかく自由なのだ。
ただ我々は食事だったりトイレだったり風呂だったりサポートが必要なところで手を貸すだけで
それ以外、何の規則も制限もない。
人によってはメリハリがないと感じ好かないだろう。しかし俺はこの毎日バラバラな勤務形態が性分に合った。もしかしたら、それまで当たり前だと思っていたルーティンワークも生きづらさの一因を担っていたのかもしれない。
適合とか不適合とか、もうどうでもいい。もう一生、他所では働けない。
そしてPieceで働きはじめた事は、柔術スタイルにも多大なる影響を与えた。
実はPieceに入って早々、俺はアバラを痛めていた。
直近の試合でやったのだが、アバラ負傷の歴史は何も今に始まったことではない。
それまで俺が主としていたファイトスタイルというのはクローズドガードから強引に引っこ抜いてスイープ(引っくり返す)もしくは、その隙間で絞めや極めを狙うという二枚看板で
これが相当体幹を酷使するが故、骨が追いつかない。
もうアバラを痛めるなんざ十八番となりつつあった。
しかしアントニオ猪木よろしく、こんな柔術を続けていたら10年持つ選手生命が1年で終わってしまうかもしれない(身体介護的にも)てなもんで
将来の事を考え、もっと身体に負担の少ないテクニックを模索していたところ
世界的な柔術家であるカイオ・テハが来日した。
その際、開催されたセミナーで彼が紹介していたのが「クローズドガードからのバックテイク」だった。
力で相手を引っくり返すのではなく、自分自身が相手の背後にスルスルっと回る
「これしかない!!」
直感したその日を境に愚直にコレを探求を続け
数年後、BJJチャンネルさんにおいて俺のテクニックだ!と言わんばかりに教則動画を紹介させていただく(こちらから)までの得意技になったが
完全に怪我の巧妙なのでアバラも痛めてみるもんだ。
しかし驚くなかれ
俺はそのカイオテハ・セミナーに参加していない。
なんと俺は、セミナーに参加した高田馬場道場の三浦さんと代々木フォレストの星野さん。練習仲間であるその御二方からそれぞれ教えてもらっただけで
しかも、その御二方には″わらしべ″すら渡していない乞食長者方式で自分の代名詞みたいなところまで昇華したという事実は、我ながらいつ思い返してもハッとさせられる。
そして弊社Pieceは先駆者・近藤哲也先輩のおかげで柔術への理解はとてもある職場だった。
試合のために休みも自由に取れる。
しかし、ひとつだけ気に食わない点があった。
哲也さんの柔術の後輩ということでPieceに入った事もあり「てっさん(哲也さんはみんなからこう呼ばれている)の後輩なのかぁ。んで何帯なの?」
と、よく聞かれ「紫帯」と答えるたび
「なんだ黒帯じゃないのか、紫帯か…」と
ほとんどがそんなリアクションなので
はあぁぁぁぁあああああ?!?!
テメェ柔術の紫帯がどんだけ凄いか知らないだろ!!
たしかに哲也さんの巻いてる黒帯は神だけど柔術って青帯、いや青帯になりそうな白帯からは、テメェらが思ってるより何倍も強いからな!!
テメェらが思い描いている世間の黒帯…たとえばお金払って試験してハイ昇格みたいな黒帯なんか俺ら簡単に秒殺できるんだからな!!柔術って凄えんだぞ!!
…と、柔術への理解はとてもあるが、柔術の事は全く理解していない仲間達にたびたび憤慨してはいたが
しかし、そんなどうでもいい案件を差し引いても
お釣りが有り余るほど
Pieceで働き出してからの俺は確実に、ブラジリアン柔術の神に導き出されていた。
この2013年、試合は五月から出始めたものの22戦し15勝7敗で、そのうち8勝が一本勝ち。自分の思い描くヴィジョン通りの試合も出来ようになってきていた。
初出場した全日本選手権では2試合連続で一本勝ちし進んだ準決勝で難敵・宮地一裕選手(当時roots所属)と0-0のまま終盤でスイープを決めかけ、一瞬勝った!と思ったがレフェリー判定で負け。
愛知で開催されたヒクソン杯2013には柔術新聞主催の岩井兄弟/弟の英治くん、英治くんの同門の野上さんと三人で車で乗り合わせて出場し、在日ブラジリアンだらけのトーナメントでゲロを吐きながら二試合勝ち決勝でウェンデル・オザキに散った。
俺は確実に導き出され始めている。
ブラジリアン柔術の神によって
しかしそれもすべて、Pieceで働き始めたことによって人生のサイクル、磁場、バランス、運勢、そういった類のものが上手く噛み合っている結果なのだと
忘年会の二次会でみんなの前でマイクを握り
万巻の思いを込めながら
衝前去 全部得失只有寸心知
(チョンチィンホゥィー チュンボゥ ダッサッチヤチュンサムチィ)
跨歩上 雲上我要去寫〜〜〜 名字!!
(クヮボゥセェン ワンセェンゴ イゥホゥィセ〜 〜〜 、、、メンチ!!)
と、ポリスストーリーの主題歌「英雄故事」のサビを熱唱しながら、俺の2013年は幕を閉じた。
しかしこの2013年には、もうひとつ
Piece以外に、大きな転換があった。
それはネイキッドマン柔術からの練習仲間筆頭だったつしまさんが
高田馬場道場を辞め
元グラバカの山崎さんが新しく設立した「リバーサルジム新宿MEWE」へ移籍した事に端を発した。
つづく
次回「トイカツ道場から新大陸″MEWE″へ渡った男達」←読めます。
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この記事を書いた人
岡市 尚士
ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。
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