岡市 尚士

岡市 尚士

2021.07.02

新米パパとなり、柔術のさらなる精進に拍車をかける俺の姿は育児放棄だったのか否か「プロレス好きのバンドマンが柔術黒帯になるまで/第163話」

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2012年11月14日、父親初日

新生児室の分厚いガラス越しに眠る長男を眺めながらこれから新米パパとなる俺の胸に込み上げてきた

「そうだ!まずはこの子に父親としての背中を見せなければ!」という、熱き想い。

その場ですぐさま、来週開催の「柔術ファイターズ」に申し込んだ。(詳細は前記事「I AM YOUR FATHER 〜誠意って、何かね?〜」から)

しかし、この表現では語弊が生じる可能性があるので先ず言っておくが、子供が生まれたから試合に出ようと思い始めたわけではない。

試合は、再び上京してからポツポツ出始めていた。

青帯時代たった4試合しかしておらず持て余していたこの命、東日本大震災から奇跡的に助かったのだから燃やし尽くすしかねえだろうと

チームホージャマシャード時代からの尊敬する先輩方黒田道鷹先輩、石田浩先輩、向後正彦先輩、酒井峰行先輩(プロ格闘家/サカイミネユキ選手)

俺もそんな先輩達みたいに生きたい!と意気込んで、出場した「2011ヒクソン杯」が″沼″の始まりだった。

初戦″ヨリンボロ″こと頼藤暁選手(パラエストラ熊本→ボンサイ柔術)相手に紫帯デビューを果たし

次戦ではボンサイ柔術/鈴木恒太選手と、若手時代の小橋建太を彷彿とさせるローリングクレイドルばりのベリンボロ合戦の末、見事に散った。

左からボンサイ柔術ヒロヤマニハ選手、同ジム鈴木恒太選手、AXIS柔術アカデミー小林洋介選手、俺

オープンクラス(無差別級)では、数年後にパレ東・昼柔術の練習仲間となるグラバカ/大川哲夫選手(現・Sparcrew Brazilian Jiu-Jitsu代表)の三角十字によって自身初の一本負けを味わったのだが

このヒクソン・グレイシー杯2011が終わろうとも

″沼″に突っ込んだ足は抜けなかった。

翌月のDUMAUでも、のちにRIZINファイターとして脚光を浴びる事になるクレベル・コイケ選手を相手に

仲間達の声援や、つしまさんの「記念受験だ!行ってこい!」の掛け声を背に受け、握手から速攻タックルで2点奪取した直後、迎撃のアームバーで秒殺され

同じくのちにRIZINファイターとなるボンサイ柔術/ヒロヤマニハ選手との試合ではズボンを掴まれた拍子に俺の全ケツが丸出しになった映像が全国発売のDVD(発売元FULL FORCE)に収録される事になったり

自覚症状は全くないのだが、どうやら俺は沼のかなり深いところまで沈んでいたようで、そんな状況が一年も続けば″社会復帰″は決して簡単なことではなく

だから子供が出来ようが、出来まいが

それとは全く関係なく、どっちみち柔術ファイターズには申し込んでいたと思われ

ただ子供が出来たことによって「もっと頑張ろう」と思ったことは確かだ。柔術を

男の子を持つ父親であれば誰でも強く在りたいと願うと思うのだが、こちとら風呂なしの昭和アパートで、赤ちゃんを育てようとしているんじゃ(後付けタイプのシャワールームだけある)

マイルドな気持ちじゃ務まらねえ

父さんは強くなるから、お前らも強くなれ!

洗濯機だってベランダ置きの雨ざらしスタイル

逞しく生きていかなきゃな

「子連れ狼」の拝一刀親子みたいに。

ただこの時期、所帯持ちの先輩である石田アニキから「一番、大事なのは奥さんへの、いたわりだよ」とのアドバイスをいただいた。

しかし、嫁への「いたわり」とは具体的に何なのか、いまいちピンと来ていなかったがアニキからの言葉を肝に銘じる事にした。

だから先ず、家事は極力やるようにしよう。

今さら金持ちになんかどう頑張っても無理だろうし、この昭和アパート暮らしも、しばらく続くだろう。

何の特典もついてこない男だけど、ちょっとした家事なら出来る。洗濯、食器洗い、息子のオムツ替え。

これが俺にできる最大の「いたわり」だと考えた。

そして、俺には物欲が無く、ギャンブルもやらない。プラスは生まないが、しかしマイナスも生まない。

とてもローリスクな男だという事も覚えておいてくれ

その代わりと言っちゃ何だが…

一日2時間以上、最低でも週6は練習させてくれたら、あとは何も望まない。

トイカツ従業員時代は朝から晩まで道場に居て週20回は練習してたのだから、たったの週6回であれば何の問題もないだろう。

火木の代々木フォレスト。水土の高田馬場道場は必須として、残り二日は出稽古とか

ちなみにこの時期、新宿スポーツセンターで行われていた「チーム野武士」の練習会では現在高田馬場道場の仲間である長門さんとよくご一緒していた。

このように新米パパとしての生活は始まったわけなのだが、練習時間はそれまでと比べ格段に減ったため

それ以外の時間はどうやったら勝てる柔術が完成するのか常に頭で考えるようになった。

より少ない体積でベリンボロを回れるようになるためオムツ替えが終わった息子のカラダで打ち込みをし

完成したばかりのスカイツリーに家族で行った際には昨晩の練習でのパスガードの改善点が頭から離れず、展望台からの絶景が全く入って来なかった。

一番、収穫だったのは井の頭公園にお出かけした際、池の周りをベビーカーを押しながら左周りで歩いていたら工事で一部通れない通路があり「そうか!自分が仰向けの時、右脚を触られない限り、ほぼパスガードされる事はない!」と思いついた時だった。

そして大会にも毎月のように出ていたのだが

当時、自分が主戦場としていた紫帯ライトフェザー級はかなり好敵手に恵まれた。

実際に試合した選手でいうと、AXIS柔術アカデミー・鶴巻陽司選手、北添哲也選手、小林洋介選手/ねわざワールド匝瑳・川嶋和哉選手(当時)/roots(当時)宮地一裕選手/トライフォース・坂本純選手/トライフォース青山(当時)佐藤晶彦選手/トライフォース五反田・伊藤英元選手(現トライフォース横浜代表)/RBアカデミー・今野泰治選手/パラエストラ池袋・柴山典央選手/パラエストラ吉祥寺・高橋俊彦選手/エクストリーム海老名・川野良選手

そんな我が紫帯ライトフェザー級は

「日本屈指の大激戦区である」と、柔術専門ブログ「柔術新聞」において注目されるようになり

なんと俺個人としても、つしまさんが柔術新聞主宰の岩井兄弟と知り合いだった縁から紹介していただいて佐藤晶彦君との試合を記事に取り上げていただいた事はモチベーションとなった(その記事はこちら

このように、新米パパとなり、柔術のさらなる精進に拍車をかけていた、その裏で…

実はこんな事もやっていた。

ずっと隠していたが、あれから9年も経つので

もう良いだろう。時効だ。

勝村周一朗先生主催のニコニコグラップリングという大会が、この2012年夏にも開催されたのだが

その中において「マスクドブリーフvs腹益造」という異次元の一戦が繰り広げられた。

この「腹益造」というマスクマン

正体は私だ。

そのネーミングから、いかにも″新米パパ前夜″らしい雰囲気が漂ってくるではないか(笑)そして、なんと試合映像も残っていた。

このような、柔術や格闘技で溢れる毎日が

新米パパとなったばかりの俺が考えるところの

「子供に見せたい父親の背中」だった。

そして今日もまた練習を終えた新米パパは、嫁と子供がすでに就寝している昭和アパートへ帰る。

寝ている二人を起こしてはならないと、まずは台所で「プシュッ」と缶ビールを開けてから足音を立てないように寝床へ向かうのだ。

パパは今日も頑張ったぞ。スパーリングを10本くらいこなし、くたくたの身体にアルコールが染み渡る。

自分でも気が付かないうちに寝落ちした新米パパは、その後の息子の夜泣きには全く気付かず爆睡をし続けそして爽やかな朝を迎える。

晴れ渡る空の下、ベランダの洗濯機で道着とラッシュガードを洗濯しながら、リビングに居る嫁に

「いつかワールドマスターに出てえなぁ」と言うと

「良いじゃん!やりたいことあるんなら、やった方が絶対良いよ!」と、いつも返してくれるので

石田アニキからアドバイスされた「いたわり」作戦が日頃から功を奏しているのだろう

…と、何の疑いようもなく心から思っていた。

しかし、何だって?

いたわってもらってるのは…え、俺の方だと!?

…という世間の声を知るのは、もう少し先の話

息子を介して知り合う、いわゆるパパ友ママ友という人種に出会ってからのことである。

どうやら俺は異星人らしい。

は、嘘だろ?俺が異星人なら、バンド界や格闘技界の中枢を担う奴らは極悪宇宙人ということになる。

そしてウチの親父を見てみろ!俺、生まれてから一度たりとも親父に遊び相手になってもらった事ねえぞ。

だからといって、相手になって欲しかったなんて1ミリも思った事はない。でも俺がこんな人間になったのは間違いなく親父のおかげだ。

親父が部屋にエロビデオと週刊プロレスを置き忘れてくれたおかげだ(詳細こちら笑)でも、これで充分、親父は父親としての責務を全うしてくれたと息子の俺はそう思う。そして心から感謝している。

父親って、普通こんなもんだろ?

でも、それは違うらしい(笑)どうやら世間の大多数は子煩悩が占めているらしく、しかし前述のとおり、それを知るのは少し先の話になるので

この時はむしろ育児放棄自分のことに一生懸命だった事なんかよりも「職業・弁当屋のアルバイト」というのを、新米パパとしては、とても気にしていた。

配達中、捕まりすぎて免停になったりしてたし(笑)

しかしそれには職探しをする余裕が全く生まれない

ある事情があった。

新米パパとなり、柔術のさらなる精進に拍車をかける一方で俺は「復興支援活動を頑張っている人」という顔も持っていたのだが

それが原因で、精神的に参りはじめていた。

つづく

次回「復興支援活動に殺されそうになってた時の話」←読めます。

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この記事を書いた人

岡市 尚士

岡市 尚士

ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。

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