ボクシングとキックボクシングの違い⑥は、ちょっとマニアックなんですが『サウスポーへの対処法』です。

サウスポーとやる時はどうしたら良いのか?ボクシングとキックでサウスポーの対処法に違いはあるのか?

上編となる今回はサウスポーの基本的な知識について書きたいと思います。

格闘技で左利きを表すサウスポーとは、もともとは野球用語です。

私の敬愛するジョー小泉先生によると、下記のような説があるそうです。

英語でサウス(south)は南をポー(paw)は動物の前足を意味します。アメリカの野球場は、陽射しの関係で左利きの投手の投球が南から出てくるような位置関係に設計されていたため、左利き投手がサウスポーと呼ばれるようになったという説や、アメリカ南部出身のピッチャーに左腕が多かったためサウスポーと呼ばれ始めたなど、諸説あります。

サウスポーの特徴として、オーソドックスの選手と相対した時にリードブローがぶつかり合い、距離が遠くなるというところがあります。日本語でも『相四つ』『喧嘩四つ』という言葉があるように、前手同士が邪魔(喧嘩)になるので接近してしっかり打ち合うことが難しくなります。これは近い距離で戦うことの多いボクシングで特に顕著です。

したがって、古来打ち合いを好むアメリカでは、左利きの選手はあまり好ましくないとされ、オーソドックスにコンバートさせられることが多かったようです。モハメド・アリにプロ初の黒星をつけたジョー・フレージャーなどが良い例で、彼らは利き手を前に出すスタイルで戦うため左フックが強力な傾向にありました。

現代では、逆に右利きなのにサウスポースタンスで構えるコンバーテッドサウスポーも多く見られます。日本で言うと、剣道や柔道や日本拳法などは右足前にしているので、これらの競技の出身者はそのままサウスポースタンスで戦うことが多くなります。総合格闘技の選手にサウスポーが多いのも、柔道やレスリングなど右足前の競技出身者が多いからです。

余談ですが、私も右利きのサウスポーです。理由はサウスポーの戦い方の綺麗さに惹かれたからです。

先程サウスポーの特徴として、オーソドックスとの打ち合いに向かないと書きました。相四つでしっかり打ち合えないこともあり、サウスポーは相手の攻撃を外して打つカウンターパンチャーになります。攻撃をもらわず自分の攻撃のみを当てるのが理想的と考えていたので、オーソドックスよりも打たせずに打つスタイルをしやすそうに見えたのです。

基本的なサウスポーの戦い方とはどんなものかというと、ボクシングもキックボクシングでもリードとなる右手右足で相手を牽制しコントロールし、奥手奥足の強い攻撃を当てて行くのが基本となります。だいぶ大雑把ですが。

でも、これはオーソドックスも一緒ですね。

根本的な戦い方は同じなのになぜサウスポーに対してやりづらさを感じるのでしょうか?

1番の理由は、希少性です。

単純にサウスポーはオーソドックスとの戦いに慣れているのに対し、オーソドックスはサウスポーとの戦いに慣れていないのです。

左利き選手は圧倒的に少ないので、サウスポーはもともとオーソドックスと戦う事を想定して練習しているのに対して、オーソドックスはオーソドックスと戦う事を想定して練習しているからです。

そこにやりづらさがあります。

サウスポーもオーソドックスも利き手利き足を後ろに引いて相対しているという条件は変わりません。

サウスポーのオーソドックスに対してとっている具体的な戦術については、長くなるのでまた次回、、、

なかなかボクシングとキックの違いまで行き着かなそうですが!

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