岡市 尚士

岡市 尚士

2016.02.24

これから柔術や寝技を始めるにあたって必要な事

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高田馬場_9897

お疲れ様です。高田馬場道場・水曜&土曜の柔術クラス担当岡市です。これから月1くらいの頻度でブログを書かせていただく事になりましたので、よろしくお願いします。

さて記念すべき第一回目のテーマ。これは入会したばかりの方にもよく聞かれる事なんですけど「これから柔術や寝技を始めるにあたって必要な事」を少しだけ書かせていただきます。

まず結論から書きますけど。

「無いです。」

むしろ、逆に要らないもの。

「努力」「目標」「真剣」「覚悟」「根性」「忍耐」etc。。。数えればキリがないんですが、まあそういった類のもの。

ハッキリ言って一番邪魔です。

あえて言うなら「頑張らない」「低空飛行で」「細くとにかく細く」「それほど期待せずに」「目標は低く」etc。。。とにかく志はかなり低く、もしくは志なんか持たずに、始める事をオススメします。

・・いやいや、あなた練習ガッツリやってて大会とかも頻繁に出てるじゃないですか!というツッコミが入りそうですが。

そこが寝技の難しいところなんですよ。

レベルを10段階で表すとしたら

「レベル0→1までの期間」

この0から1までというのが仲々のクセ者でして。。

それが1くらいに達する頃には先生や仲間の励ましが無くても勝手に1人で歩き出してます。頑張るなって言っても頑張ります。そうなれるまで気を長く保ち続ける必要があります。

では、もう少しレベル1以降の具体例を挙げてみましょう。それまで週1だった練習が2日になり、3日になり。。柔術家あるあるですね(笑)週3程度の練習を楽しいと思えるようになる頃には自身の技術がかけがえのない財産になってるはずです。「私にブラジリアン柔術の才能があったなんて」例のあの広告の状態です。自ら色んな道場出稽古行ったり、YouTubeで動画を漁ったり、誰にも頼まれてないのに大会にエントリーしたり。

この競技には未経験者には理解しがたい不思議な中毒性がありまして。先日2月21〜22日に「全日本マスター柔術選手権」という30歳以上しか出れないオヤジ&オバちゃん限定の全日本選手権が開催されたんですけど全カテゴリー合わせて参加人数が643人もいたんですよ。柔術の世界ではお馴染みの「家庭内予選」という言葉があります。奥さんの許可を得てまで大会に出たい!せっかくの日曜日だけど家族とお出かけじゃなくて練習行きたい!中にはのめり込み過ぎて会社を辞める逸材もいるほど。そこまでして人を狂わす(笑)そんなスポーツ仲々ないと思います。

しかし中毒性が強い反面、先程も申しましたが始めたての頃は全然しっくり来ないのも寝技の特性で。初日からパンチ・キックをサンドバックやミットに当てて汗を流せる打撃と違い、寝技で初日から充実感を得るのは正直難しいです。技を指示通りにやってみても、これ本当に通用するのかな。さあ、いざ組み合ってみるか。となると。全然勝てない。さっき習ったの全然使えねえじゃねえか。いくら腕力やケンカに自信があっても自分より少し長くやってるヒョロい学生やオジさんに全く勝てない。屈辱感、悔しさ、ストレス。色々感じると思います。

僕自身も8年前柔術を始めたばかりの頃は生け花でも習うような感覚で極力頑張らないように始めました。嘘ではありません。何故なら自分は小学〜高校までレスリング。24歳〜26歳までコンバットレスリング。2回も辞めた経験があるので。フィジカルと勢いである程度までは何とかなるレスリングと違い、寝技が混ざると難しい。格闘技はつらいという事をすでに知っていたんですね。いや、つらいというと語弊がありますね。身に付いてない段階で真剣にやるとつらい。続けるのがつらくなってくる。

なのでブランクを経て28歳からまた柔術をやろうとなった時はとにかく続けるために「極力頑張らない」を目標に。自分に何の期待もせずに始めました。それが始めて半年過ぎたくらいから何となくなんですけど出来るようになってる気がしてきて。そこからですね。心から寝技が面白いと思えるようになったのは。レスリング時代に使い果たしたと思ってた格闘技の伸びしろが全然まだまだあったなんて。まさか「私にブラジリアン柔術の才能があったなんて」状態。

だからこそレベル0→1の期間は本当に大切です。

決して火を止めないでください。弱火でコトコト。今、味染みてる最中ですよ。焦って食べないでください。フタ開けないでください。火強めないでください。弱火でじっくりコトコト。

人によっては数ヶ月だったり1年以上だったり。同期が伸びようが後輩に抜かれようが、とにかく焦らないでください。1以降の人間の可能性は無限大です。いきなり覚醒したり。飛び級したりします。「運動経験なし40代痩せ気味のオジサンだった人」が柔術2〜3年くらいで、キャリア10年以上のプロパンクラシストを極める。そんな光景が高田馬場道場では起きてます。

先日の大会に集まった643人も絶対経験している「レベル0→1の期間」僕はそこを1番に考えて柔術クラスを進めております。

レベル1はいつの日か絶対訪れます。どうか頑張らないでください。

この記事を書いた人

岡市 尚士

岡市 尚士

ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。

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