漆原季亮
睡眠時間が7時間未満の人は、『太りやすい』② :睡眠の質を上げる8つの方法
前回のブログでは、睡眠が7時間未満の人は、8時間寝ている人に対し、肥満になる可能性が1.5倍増えるということに加え、健康に関する様々なリスクを抱える可能性が研究から示されているという内容を書かせて頂きました。
○前回のブログ⇒睡眠時間が7時間未満の人は、『太りやすい』
睡眠不足の方は免疫力の低下や、記憶力、集中力の低下が起こりやすく、アルツハイマー、がん、糖尿病、精神疾患、心臓病、高血圧など、様々な病気に罹患する確率が高くなります。
また、知識の記憶も、運動の記憶も、睡眠により脳に定着します。
※試合で戦略を練ったり、身体が反射的にオフェンスやディフェンスの反応をしたり、パンチやキックの正しいフォームを覚え、それを無意識にできるようにさせるのも、全ては経験(練習)したことを睡眠が定着させてくれるおかげです。
アスリートの人も、受験や資格取得のために勉強をしている人も、睡眠を犠牲にし、身体と脳に負担をかけてまで努力をしようとすることはかえって逆効果で、とても非効率です。
そして、前回のブログでは、健康に良いとされる睡眠はおおよそ8時間(人により異なる)ということを書かせて頂きました。
昼寝も健康に良いとされていますが、深い眠りにつくと眠りのメインである夜の睡眠の質を下げてしまうため、日中、15分から30分程度の、軽くうとうとする程度の睡眠を挟むと良いとされています。
※目を数秒つぶる程度でも脳のリフレッシュに役立ちます。
※夜の眠りの質を下げないのであれば、1時間以上寝ても問題ないと個人的には思いますが、それはアスリートが激しいトレーニングを行った後など、よほど肉体、精神的に疲労が激しい場合に限るでしょう。
人の睡眠は、浅い眠りであるレム睡眠と、深い眠りであるノンレム睡眠を周期的に繰り返す仕組みになっています。
夜の前半は深い睡眠であるノンレム睡眠の時間が長く(そして最も深い)、レム睡眠の時間は短くなり、反対に、明け方にかけてはレム睡眠の時間が長くなり、覚醒に近付きます。
この2種類の睡眠は、どちらが大切というわけではなく、どちらの睡眠を犠牲にしても(たった1時間でも)体に大きな負担をかけてしまいます。
今回のブログでは、どうしたら質の良い睡眠をとることができるのかを書いていきます。
【睡眠の質を上げる8つの内容】
①自分のクロノタイプを把握する
よく、早起きは三文の徳という言葉がありますが、そんなことはありません。
人には、朝方、昼型、夜型、ショートスリーパー型の人間がおり、活動しやすい時間帯が遺伝によって決まっています。
※完全な朝方は何時、夜型は何時という決まりはなく、同じ朝方でも誤差があります。
自分の最もパフォーマンスが発揮しやすい時間帯から外れることは、遺伝子に逆らうようなものです。
そのため、自分はどの型なのかを把握しておき、起きている間は活動的に行動をするのが大切です。
なお、人口のおおよそ半分の方は昼型(7時頃に起きて活動し、昼間が最もパフォーマンスが高い)であると言われているので、23時頃に寝て、7時頃に起きる習慣が大半の方にとっての理想的な睡眠時間となります。
②カフェインの摂取量と摂取時間に気を付ける
眠気を覚まし、集中力を上げる上でカフェインが大切なのは有名です。
また、カフェインは抗酸化作用も持ち合わせています。
しかし、カフェインを完全に代謝するまでは驚くほどの時間が必要で、およそ10時間から14時間ほどかかると言われています。
血中のカフェイン濃度が高いと、アデノシンという、脳に眠気を知らせる物質の働きを阻害し、眠気を感じなくなります。
そのため、昼過ぎ以降にとってしまうと、睡眠バランスを崩し、なかなか寝付けない原因にもなってしまいます。
よって、お昼以降はカフェインをなるべく摂取しないようにしましょう。
反対に、朝食後にカフェインを摂ることは体内時計をコントロールする上でも大切です。
カフェインは摂取する時間帯によって、健康に良くもなれば悪くもなる飲み物です。
カフェインはコーヒー以外にも、ハイカカオ、緑茶、ほうじ茶、多くのエナジードリンクなどに含まれているので、それらを摂取する時間帯にも気を配りましょう。
※コーヒーとエナジードリンクはカフェイン量が多いので、特に注意が必要です。
※代謝に時間がかかるカフェインを日常的に摂取することは、肝臓に負担をかけ疲れを貯めやすくし、老化を早めるという意見もあります。日常でカフェインをとっている方は、休日にカフェインを抜くことも良いかもしれません。
③光を浴びる時間帯に気を付ける
スマホのブルーライトを浴びると眠れなくなるというのは聞いたことがあるかもしれません。
ブルーライトに限らず、夜に浴びる光は、人を睡眠に促すメラトニンというホルモンの分泌を阻害します。
そのため、夜間はデジタルな光をなるべく避ける必要があります。
部屋の光を暖色系にしたり、サングラスで光を遮るのも効果的です。
④就寝時間と起床時間を一定に保つ
人間には概日リズムという体内時計が備わっています。
※①で紹介した、自分のクロノタイプにも関わってきます。
体内時計は、およそ24時間周期で刻まれています。
実際は24時間より少し長めに設定されているにで、そのままだと少しずつ1日のルーティンから外れてしまいますが、日の光などの影響でリセットされることで、正しい睡眠周期が保たれます。
この睡眠周期が崩れると、体内時計のバランスが崩れてしまいます。
そのため、仕事の日、休日問わず、決まった時間に起床し、決まった時間に就寝すると、体内時計を味方につけ、スムーズな睡眠に入りやすくなります。
本来、この概日リズムに沿って規則正しい生活を送ることが最も睡眠の質に作用しやすいのですが、忙しい現代社会ではなかなかそうもいきません。
人間の体内時計は1日1時間程度までしか(最大でも)調整が効かないので、変則的なシフト勤務や、時差がある場所への移動などは体内時計を狂わせます。
変則的なシフトの場合、そのシフトに合わせ、前もって少しずつ起床時間と就寝時間を合わせていくことが大切です。
「明日は普段より朝早いから、今日は早めに寝よう」と思っても、普段と就寝時間が違うと、なかなか眠れず、逆に睡眠の質を下げてしまいます。
⑤運動をする。
運動で体に適度な疲労させることも、身体を眠りに入りやすくさせます。
しかし、夜中に高い強度の運動を行ってしまうと、交感神経が高くなります。
交感神経が高まった状態では眠りに入りにくくなってしまうので、遅い時間の運動はしないか、行うにしても適度にしましょう。
また、ストレッチや、ゆっくりとした呼吸法、ハーブティーを飲むなどで、高ぶった交感神経を下げ、副交感神経を優位にすることでも眠りにつきやすくなります。
⑥夕食は早めに、少な目に食べ、就寝時には胃の中を空にしておく。
食べ過ぎや、遅い時間にご飯を食べてしまい、それでなかなか寝付けないという経験をお持ちの方もいるかと思います。
寝る前に胃の中に食物があると、消化器官に負担をかけ、また、逆流性胃腸炎になる可能性もありますので、夕食の時間は可能な限り早めにしましょう。
※早く食べ終えようと思い、早食いをしてしまうと、逆に消化不良や食べ過ぎを招くので注意して下さい。
少なくとも就寝時間3時間、できれば4時間前には食べ終えることが理想です。
早めに食べても、食べ過ぎてしまったり、消化しにくい脂質などを取りすぎてしまうと寝つきに時間がかかり、睡眠中も回復ではなく消化吸収にエネルギーを割き、睡眠の質も下げてしまいます。
そのため、過食や、食べるものにも気を付けつける必要があります。
例えば、基本的には健康にとても良いとされる食物繊維も、消化に時間がかかるので、寝る前に摂ると消化不良を起こす可能性があります。
食物繊維は日常でたっぷり摂りたいところですが、夜ご飯に限っては摂り過ぎに注意が必要です。
基本的には、夜は栄養素のバランスを考えつつ、少量に留めるのが理想です。
また、安眠するにあたり、寝る前にココア、牛乳、豆乳など、様々な飲み物が睡眠を促すという話も聞きます。
この辺りの研究結果は、非常に混沌として、寝つきが良くなったという報告から、効果がなかった、悪くなったという報告まであります。
睡眠にこれら食品が影響してくるという理論は、牛乳や大豆、卵などに含まれるトリプトファンという栄養素が関わっています。
トリプトファンは、セロトニンというホルモンを作るのに必要な材料になります。
セロトニンは別名幸せホルモンと呼ばれる精神安定に欠かせないホルモンでもあり、眠りと関係するメラトニンの材料になります。
その為、トリプトファンが入った食品を摂ると安眠に繋がるという仮説です。
しかし、私個人的には、睡眠前でなくてもいいのではないかと思います。
サプリメントのトリプトファンは、早朝に摂らなければ効果が薄いようです。
そのため、例えトリプトファンが豊富に含まれている食品も、寝る直前では効果が薄いと思います。
また、先に説明したように、基本的には寝る前に胃の中に食物を入れてしまうと睡眠の質を下げることが分かっています。
その基本に従い、寝る前に消化に時間がかかるものは摂らないようにするのが賢明かと思います。
※なお、トリプトファンが含まれている食品を早朝になると、就寝時にメラトニンの分泌量が増え、睡眠の質が上がるといった報告があり、こちらの方が多くのエビデンスに支えられているようです。やはりしっかりと朝食を摂るということは大切ということですね。
寝る前に糖質を摂ると眠りやすいという報告もあるようですが、こちらも明確なエビデンスがあるわけではなく、寝る前に多く糖質を摂ることは健康面からもお勧めしかねます。
その為、やはり、基本的には寝る前はお水か、ノンカフェインのハーブティーなどを飲むに留めるのが良いでしょう。
また、水やお茶も摂り過ぎると、夜間トイレに起きてしまう可能性が高まります。
しかし、寝る前に水を飲まないと寝てる間の発汗で血液の濃度が濃くなり、心血管に負担をかけてしまいます。
合わせて、尿も濃くなってしまうのですが、こちらは尿路結石などのリスクを高めます。
その為、寝る前の水分は必須となるので、どれくらいの量を摂るべきかは、自分の体質と相談し、必要な量の水分を摂取しましょう。
また、食品の中には、食品そのものに睡眠を促すメラトニンが含まれているものもあります。
それらを就寝前に摂ることが、果たして睡眠の質を上げてくれるのかどうか、まだはっきりとは分かりませんが、可能性はありそうです。
しかし、効果があるとしても、寝る前にどの程度の食品を食べればいいのかはまだ不明です。
その為、それらの食品を寝る前に食べるメリット、デメリットを踏まえ、慎重に判断していきたいです。
※メラトニンが多く含まれている食品の代表例は、夜に搾った牛乳(どうやって手に入れるんだ?)とサワーチェリーです。
⑦アルコールは摂取しない
寝る前のアルコールも睡眠の質を下げます。
アルコールが寝つきをよくすると感じる人もいますが、アルコールによる睡眠は気絶と同じとまでいう研究者もいます。
アルコールは、レム睡眠の作用を阻害することが分かっています。
※眠りを浅くもするので、ノンレム睡眠も阻害します。
何度も書きますが、睡眠は、脳の老廃物を流したり、記憶の整理や強化を行ったり、身体や精神状態を回復させたりと、とても大切な時間です。
アルコールは脳を麻痺さてしまい、それら全ての回復を阻害してしまう為、大変危険です。
飲むとしても寝る3~4時間前までに、適量を心掛けましょう。
可能であればアルコールを飲まない習慣を作るのが理想です。
⑧体温中枢を下げる
体内時計の効果もあり、寝る時は体温が下がります。
動かないことによる活動量低下も関係しますが、同じ活動をしていても、体内時計の作用で、夜間の方が体温が下がるよう設計されているようです。
その体温の変化も眠りを誘う役割を担っています。
その為、室温を上げすぎてしまうと眠れなくなってしまうので、気を付けましょう。
また、ぬるめのお風呂(40~41度)にゆっくり長く入って、身体を温めるのも効果的です。
一見体温を上げる行為で矛盾じておりますが、お風呂に入ることで、手先、足先の毛細血管が広がります。
そこから効果的に放熱し、中枢温度を下げることができます。
寝る時に靴下をはくと、この放熱がうまくいかなくなるので、寝る前は素足で寝るようにしましょう。
終わりに
以上、快眠を得るにあたり、必要な情報を挙げてみました。
この忙しい現代社会、中々全てを実践するのは難しいと思います。
かくいう私も、現在のシフトが不定期の為、睡眠の質は確保できていない現状です。
とはいえ、インストラクターの仕事はストレスもかかりにくいですし、仕事をしながら身体も動かせるので、自分の意識次第で睡眠の質を上げやすい部分もあります。
インストラクターたるもの、先ずは自分が見本にならなければならないと思います。
そのため、今は健康的に関する知識を少しでも身につけ、自分自身で実践していき、効果を実感していき、それを伝えていきたいと考えています。
睡眠に関しても、現状の環境でどのようにして睡眠の質を上げていくか、試行錯誤、実験の最中です。
そして、朝に運動習慣を作る、夜はブルーライトの眼鏡をかけ、デジタルオフの時間にも気を配るなど、自分自身でコントロールできることを意識し実行すると、かなり睡眠、体調、メンタルに変化が現れるようになりました!
睡眠は本当に身体にとって大切なことなので、ぜひ疎かにせずに頂きたいと思います。
これを読んだ方が、一人でも多く、少しでも睡眠の大切さを知り、睡眠の質が向上させ、健康になって頂けることを願っています!
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10月のシフト
・月:六本木(7時~11時)、新橋(18時~23時)
・火:荻窪(13時~18時)、新橋(19時~23時)
・水:お休み
・木:田町三田(19時~22時)
・金:大門浜松町(7時~11時)、六本木(19時~23時)
・土:お休み
・日:田町三田(12時~18時)
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この記事を書いた人
漆原季亮
生年月日・・・1989/3/2 出身地・・・東京 格闘技の経歴、戦績、タイトル・・・ 少林寺拳法4年、キックボクシング5年。戦績 アマチュア:6戦5勝1敗 プロ:1戦1敗
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