岡市 尚士
震災に学ぶ〜この世からイジメがなくなることは絶対にない〜 「プロレス好きのバンドマンが柔術黒帯になるまで/第155話」
そもそも人間そのものが
そういう生き物なのかもしれない。
先ず最初に断っておくが、これから書く話は建設的なものではない。ハッキリ言ってしまえば憂さ晴らしに近い、希望もへったくれもない話である。
しかし、そこにこそ人間の真実というものがあるように思えてならない。
東日本大震災の渦中において俺は、メディアには写ることのない「人間の正体」を目撃したのだと思う。
いつか発表できる機会があれば、文章に叩きつけてやろうとずっと思っていたが、時は来た。
《全5項目》
・反吐《1/5》
前記事「鎖国解除した四月の被災地には、人間の優しさや愚かさがたくさん歩いていた」でもお伝えしたが
被災後、三月末〜四月にかけてこちら田の浜には全国各地から多くの人々や物資が大挙として押し寄せ始め
それに伴い、ここ消防団屯所には俺個人宛に救援物資が届き始めるようになった。
それは主に格闘技仲間、バンド仲間、コールセンター時代の元同僚達からなのだが
連日のように届くもんだから「なんで、おめーばっかりに届くの?」と
妬み/嫉み/僻みの三点セットが必ずついてくる。
あれだな。全国各地からどんだけ優しさが届いても、それと同じ量の反吐も出るな。まあ想定の範囲内なのだが。そしてこれもまた人間らしさだな。クソが
しかし「愚の骨頂」は
俺の範疇を軽々と超えてきた。
それは俺宛の救援物資に入っていた
「タバコ」から端を発した。
・被災後のタバコ事情《2/5》
当時、俺含め消防団員のほとんどが喫煙者だった。
そんな我々にタバコ屋(ギリギリ無事だった地帯)のオバちゃんが店の在庫を分けてくれたのだ。
しかし被災後、一ヶ月近くが経つと、そのストックもそろそろ底が見えてくる。
でもまあ大丈夫だろ。何とかしようと思う気持ちさえあれば何とかなる。
瓦礫から拾ってきた海水をかぶった未開封のタバコを一本一本、天日干ししたり
同じく拾ってきたパイプを洗い、そこらへんに無数に落ちてある吸い殻をそれに詰めて吸ったり
ただ、普通の枯れ葉だけは無理だった。あれは死んでしまうやつだ。
このように、とりあえずどうにかしていた。
しかし、このようなハングリー精神というものは誰もが発揮出来るものではないようで
全体的に消防団のタバコ事情は、枯渇傾向にあった。
そんな、ある日…
俺宛に届いた段ボール箱を開けると
…ピ、ピッカピカのセブンスター!!
しかも1カートン!!
・消防団一のタバコ長者に《3/5》
え、こんなにもらって良いのかよ!!
ちなみに1カートンとは「10箱分」のセットをいう。
しかし、1カートンでは終わらなかった。
来る日も来る日も、俺宛に届く段ボール箱にはタバコが入っていた。
知り合い達は俺がヘビースモーカー(当時)である事を知っているので、現状足りている食糧品や衣類ではなく、気を利かせてタバコを入れてくれたのだろう。
そして、日に日にカートンは増えて行き
気がつくと俺は消防団一のタバコ長者になっていた。
これは参った…。こんな嗜好品の山、勿体なさ過ぎてとても手を出しづらい。パイプに詰める吸い殻だって全然まだまだ瓦礫から捻出できているのだ。
だが俺は考えた。このカートンの山は
知人達から寄せられた「善意の塊」だ。
決して無駄にしてはいけない、そして一人占めしてもいけない。
そこで俺は「もしもタバコが無くなったら、いつでも差し上げますから」と、周りの人達に分ける事こそが知人達からの善意を無駄にしない行為だと考えた。
「売ってくれ」と申し出てくる先輩もいたが、お金をもらった所で、そもそも使える店自体が無いのもあり「いや、タダでいいです」と差し上げ続けた。
すると、信じられない現象が起こった。
俺を取り巻く空気感が
「マイルド」になった。
・変化する力関係《4/5》
気のせいじゃない。
明らかに変わった。
いや、これまで特別イジメを受けていたワケではないのだが、一番下っ端の後輩なんてこんなもんだろうとそう思うような風当たりのソレだったのに
え、空気ってこんなに軽かったっけ?!と…
それでも兄貴分のサトシさんやケンさんはこれまでと同様の扱いで俺に接してくれているのだが
それにしても集団生活で俺の周りを漂っていた空気はそれまでと明らかに″質″が変わり
不気味な位、めちゃくちゃ暮らしやすくなったのだ。
そして、それに伴い「ある瞬間」に立ち会う。
ある先輩に対する風当たりが
日に日に強くなっていってるのを目の前で感じた。
・イジメの方程式《5/5最終項目》
どんな理由をもって
某先輩に対する風当たりが強くなっていったのか
そこに深い理由なんかいらない。
どんな些細なことでも構わない。重箱の隅を突こうと思えば、人間誰にだってツッコミどころは存在する。
俺はてっきり
東京帰りの30歳の新人で、まだまだ要領を得ていない自分だったからこそ、その役目が回ってきているのだろうと思い込んでいたが、どうやら違った。
標的なんか誰でも良かったのだ。
これは俗にいうイジメの法則というものなのだろう。
それにしても驚かされた。
あ、いじめたいからやってんだな!と
こりゃあ、この世からイジメがなくなることは絶対にないだろう。
もちろん、あってはならない事なのは分かっている。でも良いとか悪いとかの前に
もう人間そのものが、そういう生き物なのだろう。
その一方でタバコ長者前後も変わらずに接してくれた先輩達は人間の素晴らしさを纏っている。
もう尊敬しかなく、俺もこうありたいと常々思う。
だが、こうも思う。
手のひらを返して態度を180度変えやがったあの野郎が晒した浅はかで、愚かで、醜い、クソだせえ姿こそ
もしかしたら人間の正体なのかもしれない。
これが被災後、集団生活で得た学びのひとつだ。
つづく
次回「瓦礫に咲く、あの日の週刊プロレス」←読めます。
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この記事を書いた人
岡市 尚士
ブラジリアン柔術黒帯。第17回茶帯全日本ブラジリアン選手権大会優勝。茶帯全日本マスターズ選手権優勝、茶帯全日本ライトフェザー級2位、JBJJF全日本マスターズ選手権マスター1紫帯ライトフェザー級優勝、全日本コンバットレスリング選手権大会/58キロ級3位、レスリング岩手県高総体/52キロ級準優勝、レスリング岩手県民体/56キロ級準優勝、レスリングジュニアオリンピックカップ/48キロ級3位と多彩な実績を持つ。
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