小林準

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2021.03.07

ムエタイのジャブとボクシングのジャブの違いとは!?

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ファイティングラボバンコクの小林準です。

ボクシングでよく聞く言葉に、

「パンチは足で打て!!」という言葉があります。

足でしっかりと強く速く踏み込むことでパンチが力強くなるからです。

ボクシングは地面を蹴る格闘技だとも言われます。

「ムエタイのパンチは、ボクシングのパンチとは何が違うんですか?」

とよく質問を受けますので、ボクシングとムエタイのジャブの違いについて書いてみました。

ボクシングのジャブは足で打つ!

ボクシングのジャブでも相手が前に出てきたところにカウンターで合わせたり、距離を測るために軽く出すだけという場合もあれば、大きく踏み込んでジャブを打つ場合もあります。

いづれにしろ、踏み込んでカラダ全体の力を手に伝えられると、スピードも強さも段違いにアップします。特に後ろ足で地面を強く蹴ってジャブを打つとスピードも強さもアップしますので、ジャブを速くしたい人は後ろ足の蹴り込みを強くするとよいです。

ボクシングの強く踏み込んだジャブはまるでストレートのような威力を発揮します。ボクシングではジャブでダウンを取るシーンもたまに見受けられます。

最近のジャブで印象に残ったシーンはボクシングの中谷選手のジャブで、相手が後ろに吹っ飛んでダウンしたシーンです。相手もジャブを出そうとしたところに、カウンター気味にアゴに見事に当ててダウンを取っています。

ムエタイのジャブは踏み込まない!

一方、ムエタイのジャブはボクシングのジャブのように強く踏み込まないことがほどんどです。ムエタイでは後ろ足で地面を蹴ってジャブを打てと言うのも聞かないです。

ムエタイのジャブの練習方法

ムエタイのミット打ちの時に、日本にいたタイ人トレーナーにも、タイに練習に来ていたたジムでも、「前の足だけ少し踏み込んで打ったら足を戻す」と教えられました。

後ろ足は基本的に残したまま、前足だけの動作で打つ練習です。ミットの時はジャブも強く打てと言われましたが、打ったら前の足はすぐに元に戻します。

または、ミット打ちの時は基本的にキックをしっかりと蹴り込むことが重要なので、そのために軽く前に出すだけという場合も多いです。ジャブを出してミットを触るだけ、前の手で距離をとってからキックをするなども、タイ人がよくやっています。

ムエタイの試合でのジャブの使い方

距離を取るためのジャブ

ムエタイの試合を見ていると、ジャブは踏み込まずに相手の顔やガードを触るだけ、前の手を出しているだけのシーンをよく見かけます。マッチメイクにもよりますが、ムエタイの試合はかなり近い間合いで行われる事が多いです。

そのため、前の手を触手のように使ってうまく距離を取りながらディフェンスをしたり、次の攻撃につなげることが多いです。ボクシングでは強いジャブでアゴが跳ね上がるシーンもよく見かけますが、ムエタイではほとんど見かけません。

ムエタイでジャブを踏み込まない理由とは

そもそも前の手を伸ばせば当たるほどの近い距離での攻防が多いので、遠くから踏み込むシーンが少ないというのがあります。

また、ムエタイではパンチの連打シーンはあまり見かけません。理由としては、ムエタイには足払いがあるからです。ジャブだけでなくパンチを踏み込んで打つと足払いされてこかされるからです。ムエタイの場合はこかされると印象が悪くなるため、なるべくこかされないような戦い方になります。

那須川天心と試合をしたロッタンと、ガオナーとの試合です。ロッタンはタイ語で「戦車」を意味します。その名の通りに突進してパンチを繰り出します。しかし、ガオナーはテクニシャンのムエフィームーのためロッタンのパンチをうまくいなすように戦っています。お互いに手が触れ合うくらいの距離で駆け引きをしながら戦っています。

特に、ロッタン前に出てくる時の、ガオナーの前足の払いがうまいです。このように踏み込んだところをうまく足払いされるとボクシングのように強く踏み込めば踏み込むほど、こかされやすくなります。

「ムエタイではパンチを強く踏み込まないのではなく、踏み込めない。」

と言うのが本当のところです。手が触れるくらいの近い距離でお互いにタイミングを伺いながら攻撃していく駆け引きは、ムエタイ独特のおもしろさです。

初心者のジャブの練習

人によりけりですが、もし私が初心者の方からジャブの練習方法を聞かれたら、足やカラダをしっかりと使って打つように指導します。なぜなら、足を使う意識がまったくないと、ただ手を出すだけで手打ちになりやすいからです。

もし、ある程度できるようになってきたら、蹴りにつなげるためなのか、何のために打つジャブなのか、目的によりジャブの打ち方が違うことを説明しながら指導していきます。

ムエタイのジャブとボクシングのジャブのまとめ

ムエタイのジャブは強く踏み込まずに打ち、ボクシングのジャブは強く踏み込んで打ちます。ムエタイでは前の手をうまく使って距離をコントロールしたり、次の攻撃につなげるために使うような動きが多いです。

ジャブはどのように打てばいいですかと言う質問を受けますが、ジャブ1つとってもどのような目的で使うかで、まったく打ち方が変わってくるのです。

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