「時」は我々人間に魔法をかけてくれる。

悪は時間によって正義にもなり

白が黒に姿を変えたりもする

パンツ履いてなかったのに、パンツを履いていたことになったりもする

前記事で（こちら参照）

「草柔会岩手2010年忘年会において代表の阿部さんとパンツ一丁でプロレスごっこをやった」と回想させていただいたのだが

どうやら全裸だったようだ。

阿部さんのネットラジオ「いわて柔術ライフ」とか、現場に居合わせた当時の練習仲間であり現在は同僚の坂村さんから寄せられたFacebookでのコメントから

俺の記憶はどうやら美化されていた事が判明した。

全く悪気がなかったとはいえ、これは完全なる歴史の改ざんである。つきましては大変恐縮ではございますが、この場をお借りしてお詫び申し上げます。

あらためまして、この度は、全裸だったにも関わらずパンツ一丁であったと、虚偽の申告をしてしまい誠に申し訳ありませんでした。

この事態を深刻に受け止め信頼の回復に全力を尽くし今回にあたる2010年年末の描写におきましては虚偽の申告がないよう努めてまいりますので、何とぞ御容赦くださいますよう伏してお願い申し上げます。

ということで今回は2010年が一体どんな年だったのか虚実をしっかり分別したうえで統括する。

この年、8月に帰郷した後のプライベートでの思い出といえばやはり大半を草柔会岩手が占めるのだが

特に、ネットラジオで阿部さんも言っていたが当時は練習後、数人でよく飲みに行った。

中でも思い出深いのがクリスマス

2010年の12月25日というのは土曜日だったので普通に草柔会岩手の練習日だった。

しかしこの日、練習に来ていたのは、たしか阿部さん坂村さん、タイキ、俺の4人だけで

練習後、坂村さんを除いた男3人で飲みに行こうということになり大雪の盛岡／大通りに繰り出した。

とりあえず入った居酒屋さんで

追加注文を取りにきた女性店員さんの手相を見させてもらったことを覚えている。

あの時「俺は手相占いが出来る」と嘘をついてしまい誠に申し訳ありませんでした。

ただ手を触りたかっただけです。

余談だがこの時、俺は長靴を履いていた。

なにも雪が降っていたからではない。

当時、俺はサンダルと長靴しか持っていなかった。

手相占いは嘘だが、これは紛れもない真実である。

その長靴のまま大雪の盛岡でナンパと撃沈を繰り返し

最終的にはカラオケボックスで

見知らぬ女性と、aikoのカブトムシを一緒に歌っていた。

この時の動画が、数ヶ月前に阿部さんからLINEに添付されて送られてくるまで、すっかり忘れていた。

人間は忘却の生き物だ。特に悲しかった記憶は忘れるように出来ていると聞いたことがある。

おそらく、この翌日。帰り道の区界パーキングエリアからこの女性に電話をしたが着信拒否されたのが悲しくて、きっとカラオケごと記憶から消そうとしてたんだろう。俺は体臭以外はカブトムシになれなかった。

こんな週末を過ごし、明日からまた一週間が始まる。

定置網漁、ミッツ君との柔術、山田レスリングクラブ

前回書いたようなパワハラ糞野郎も居るが、そういう人間はごく一部で、基本充実していたように思う。

それはミッツ君との柔術も然ることながら古巣である山田レスリングクラブの子供達に教えに行くのが毎日の楽しみだった。

山田町の子供達も御多分に洩れずクソ生意気なところもあるが、みんな本当にかわいい。

当時、俺には子供はいなかったがクラブの子供達とはまるで自分の子供かのように近い距離感で接した。

だから本気で怒ることもしばしばあった。

特に、小学校中学年くらいになってくると自分のことは棚に上げて他人を非難する傾向がよく見られる。

こういう時は容赦なく叱りつけた。

しかし子供を叱ってる時

ナンパで撃沈している週末の自分の姿が脳裏をよぎると心が痛んだ。

泥酔して全裸になっている事なんか棚に上げて

見知らぬ女性とaikoのカブトムシをデュエットしつつワンチャン狙ってるダラシない姿なんか棚に上げて

俺は、この子を叱っている。

こんなの″全裸助監督″じゃないか。意味合いはだいぶ変わるけど

どうしようもなく情けない気持ちに苛まれた。

そして、かつて俺自身もまだここのチビッコレスラーだった頃に教えに来てくださっていたOBの方々も

俺と同じ気持ちだったのだろうか

「指導者である前にSEXがしたい」

そんな気持ちで小学生の頃の俺らに指導してくださっていたのだろうか

しかし、そんな葛藤も

″消防団の飲み会″に行くと浄化された。

消防団とは一般住民にて構成される防災ボランティアのような組織である。

実は俺は消防団としての顔も持っていた。

バンド時代、田の浜の同級生であるヒデとトモ

そして彼らを通じて知り合った上の世代″田の浜オールスターズ″とでも呼ぶべき人達の存在がキッカケとなり

俺は帰郷してきたわけなのだが、その全員が田の浜の消防団「山田町消防団 第二分団」のメンバーだった。

したがって、帰郷と同時に俺が消防団に入ることは、必然的な流れだったのだが

この消防団の飲み会で、泥酔した織笠憲一先輩の全裸を見ると、キッズ指導者としての葛藤も吹き飛んだ。

織笠憲一先輩ことケンさんは俺を佐々木漁業生産組合に紹介してくれた兄貴分的存在である。

そんなケンさんはじめ消防のみんなは

とにかくスケベだった。

強風など大荒れの天候の際、出動し見回りなど消防団としての任務を遂行するわけなのだが、まっすぐ帰宅なんかせず、ほぼ100％「飲みに行こう」となる。

そこからである。

山田町消防団 第二分団が本領を発揮するのは

飲み屋の扉の向こう側に真実がある。

そのほとんどが妻子持ちであり、もしかしたら飲みに行く口実を作りたいがために消防団に属してるんじゃないかな？と妻子持ちになった今なら合点がいくほど消防団の先輩達の飲み方は、俺が盛岡で飲んでる時の比じゃなかった。

やっぱり男はみんなオッパイが好きなんだ。

でも、これでいいのだ。

バカボンのパパと同じくらいの年齢のケンさんはじめ消防団の先輩達のバカボンのパパ以上に説得力のある勇姿から俺は、生きていく上で大切なことを学んだ。

これでいいのだ。

こうしてキッズ指導者としての葛藤は浄化され

俺はまた週末、盛岡や北上で全裸になる。

まさに全裸の相乗効果

全裸の♾（インフィニティ）

これが帰郷後2010年の俺の全てだ。

しかし「無限」を意味する♾（インフィニティ）も、自然の前では無限ではなくなることもあるなんて

全く思いもしなかった。

2011年が始まる。

つづく

次回「2011年1月と2月の日記 〜定置網漁とブラジリアン柔術〜」←読めます。

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