上念 司
いきなり本土決戦?ウーマンラッシュアワーの村本さんと議論してきました。
8月11日の朝まで生テレビで、司会の田原総一朗氏が「国民には国を守る義務がある」との発言に対して、村本さんが「それをね絶対に戦争に行くことのない年寄りに言われても何もピントも来ないんですよ」と反論したことが話題になってますね。終戦記念日の15日、ツイッターで「僕は国よりも自分のことが好きなので絶対に戦争が起きても行きません よろしく」と宣言し、賛否を呼んでいるそうです。
戦争拒否宣言のウーマン村本、田原総一朗氏に反論
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/1873556.html
「国民には国を守る義務がある」とか、「敵が攻めてきたときに戦う気があるのか!」という質問には、答える前にいくつか確認しなければいけないことがあります。それを確認しないと、「巨大なエビが襲ってきたときにそれを食べるのか、それとも逃げるのか?」みたいな意味不明な問いになるからです。
今週月曜日のabemaプライムで村本さんとこの発言について討論する機会がありました。
そのとき思ったんですよ。田原さんも村本さんも、どうも前提にしているのは「日本が本土決戦に追い込まれて敵が目の前にいるときに自分がゲリラとしてその辺にある物を持って対抗するかどうか」みたいな話してるなと、、、
大体「戦争に行く」って言い方ですから。歩兵としてどっかで戦うこと想定してません?どれだけ古い戦争を想定しているんだか、、、
安全保障のことをもっとちゃんと勉強してほしいですね。
日本は海洋国家ですから、敵が侵略してくるなら海を越えてこないといけません。
自衛隊は水平線の向こうにいる敵を撃破します。
敵の潜水艦も対潜哨戒機で上からボコボコ。
今の戦争は相手の姿を見る前に終わっちゃうんですよ。
村本さんに召集令状が届く前に、「ポチッとな」で終わりなんです。
というか、そういう風に終わるような備えをしてないと絶対に負けます。
フィリピンが支那の海洋侵略に苦労してますけど、そういう意味で備えが足らないんです。
アメリカが一緒に戦うように備えてくれてたのに、ずいぶん前に追い出してしまいましたから。
自衛隊は敵が日本に上陸してくるような事態にならないように、また仮に上陸したとしても数日、または数週間で奪還できるような戦略を立てています。そのときに国民のゲリラ戦は想定してませんから安心して下さい。仮にそういう状況が発生したとしたら、全力で戦闘地域から逃げて足手まといにならないようにすることが「戦う」ことです。
田原さんの言い方なんてもう日本が完全に敵に占領されてる状態で抵抗するかどうかみたいな話なんですよ。
ポツダム宣言受諾後にやってきた進駐軍にテロ攻撃するかどうかみたいな究極の選択を第一問目に持ってきているわけです。村本さんの安全保障に対する認識に問題があるのを割り引いたとしても、さすがにこの質問の仕方はおかしい。
ウンコ味のカレーとカレー味のウンコ、どっちを食べる?みたいな机上の空論です。
「実際にその2つを持ってこい!」で終了ですよ。
CM中に私が村本さんに次のようなことを言いました。
「実際に戦争では村本さんが戦場で活躍する機会はないと思います。いまは資本集約型の戦争といって、高度なハイテク兵器で戦いますから素人が戦場に行っても足手まといにしかなりません。村本さんにできることは、しっかり働いて税金を払うことです。田原さんの想定している戦争は古いって言ってやれば良かったんですよ。」
村本さんは「なるほど」って言ってました。
「あなたは戦いますか?」という質問がどれだけ無意味かご理解いただけたかな?
こういう質問を受けたら即座に「はい、納税することでいますでに私は戦ってますけど何か?」と言い返して下さい。
本屋で変な本(例:国家破産、ハイパーインフレ)を見つけたら抗議するとか、偏向報道を見つけたら抗議するとか、それも戦いです。
今の戦争は見えない戦場ですでに始まってますから。
サイバー戦、心理戦、宇宙戦、、、
こんな時代に「いきなり本土決戦ですか?あなたはバカなんですか?」と逆質問してもいいと思います。
本土決戦でゲリラ戦みたいな状況に追い込まれないためには、必要以上に自衛隊の手足を縛っているいまの状況を変えなきゃいけません。その方法は、憲法は改正でも、解釈の変更でも何でもいいと思いますよ。
つい最近まで、同盟国の艦船が攻撃を受けていてもそれを援護したら「侵略行為だ!」とかバカなこと言ってました。安保法制のバカ騒ぎはまさにこれです。
日本に味方してくれる国の部隊が敵に攻撃されてたら、一緒に守って当然ですよね?トランスフォーマーなんか見れば分かるじゃない。異星人だって地球に味方してくれるなら同盟軍として一緒に戦うの。当たり前でしょ?(実際にはあんなに追い込まれちゃ終わりですけどね。海王星の軌道の外側で迎撃して殲滅しておくべきでしたねw)
ということで、日本の安全保障に関する議論にはこういう「いきなり本土決戦」みたいな雑な議論が多いので気をつけましょう。
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この記事を書いた人
上念 司
経済評論家 著作:『経済ニュースのウソを見抜け http://a.r10.to/hpY7cY 』 『売国経済論の正体(徳間書店)』『日本は破産しない! (宝島社)』 『「日銀貴族」が国を滅ぼす(光文社新書)』『デフレと円高の何が「悪」か(光文社新書)』 他
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